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イベルメクチン訴訟で勝利のコロナ患者が死亡

イベルメクチンの使用をめぐって、妻が病院を訴えた新型コロナウイルスの患者が12日、息を引き取った。今月初旬に使用が許可され、一週間前に一回目の投与を受けていた。ヨーク・デイリー・レコードが伝えた。

亡くなったのはペンシルバニア州ヨーク郡在住のキース・スミスさん(52)。先月10日に、新型コロナウイルスの感染が判明した。症状が悪化し、19日に入院。21日以降は、集中治療室で人工呼吸器を装着していた。

妻ダーラさんは、重症化した夫の治療に、イベルメクチンの処方を求めたが、病院側が拒否したことから、法廷闘争に発展した。

裁判所は今月3日、外部の医師がイベルメクチンを処方することを認める判決を下した。ただし、病院に処方を命じるというダーラさんの当初の求めは、認められなかった。

ダーラさんが裁判に際して頼ったのは、イベルメクチンの使用を推奨している団体「フロントラインCOVID-19 クリティカル・ケア・アライアンス(FLCCC)」で、代理人を勤めた弁護士のラルフ・ロリーゴ氏とも、同団体を通じて知り合った。ロリーゴ氏は、全国で同様の訴訟を多く手がけており、病院側に処方を認めさせることに成功しているという。

判決後、キースさんにイベルメクチンを処方した医師も、同団体の関係者だった。

ヨーク・デイリー・レコードによると、団体を率いるのは、以前、ウィスコンシン大学病院で救命救急医を務めていたピエール・コリー(Pierre Kory)氏。同氏はイベルメクチンの著名な提唱者で、昨年12月、議会公聴会で、自身も毎週服用していると明かし、「奇跡的な効果」があるなどと証言した。今年8月、本人が新型コロナウイルスに感染している。

なお、医学誌Frontiers in Pharmacologyは、今年3月、同団体のメンバーが投稿したイベルメクチンの使用に関する論文を取り下げると発表した。根拠のない主張が含まれており、編集方針に違反したとしている。

米食品医薬品局は、イベルメクチンについて、動物の寄生虫の治療および予防薬として承認を与えている。人体向けに、一部の寄生虫の治療を目的とした錠剤が承認を受けているほか、アタマジラミと皮膚の炎症の治療のための外用薬がある。しかしながら、コロナウイルスの治療や予防を目的とした使用については、承認を与えていない。

今年8月、動物用の薬を服用して医者にかかる患者が相次いだことを受け、ツイッターで「君たちは馬ではない。牛ではない。本気だ。止めるんだ」と呼びかけ、話題になった。

国立衛生研究所のコロナ治療ガイドラインのパネルでは、イベルメクチンを、臨床試験以外に、コロナの治療に使用することを推奨しないとしている。

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