ニューヨークタイムズは11日、事情を知る人物の話として、マンハッタン地検が、過去数週間でトランプ大統領に関係する銀行や保険ブローカーの従業員に聴取を行うなど、捜査を「大きく進展」させていると伝えた。
ドイツ銀行と保険会社エーオンの従業員が聴取を受けたという。情報筋によると、検事は、ドイツ銀行の2人の従業員に、銀行の貸付の決定手続きについて聞き取りをした。これらの従業員はトランプ・オーガニゼーションを担当した銀行員ではなく、査定のエキスパートだという。聴取はトランプ氏と銀行の関係に焦点を当てたものではないが、職員らは、検事局が近い将来、より限定的な聴取のために、関係者を召喚するだろうとみている。
マンハッタン地検のサイラス・バンス・ジュニア検事長が率いる捜査の範囲は明らかではないが、ニューヨーク・タイムズは9月、犯罪捜査が税金詐欺や保険詐欺、業務記録の改ざんにまで及んでいる可能性があると伝えていた。
また同紙は11月、情報筋によるものとして、バンス検事長が、トランプ・オーガニゼーションがコンサルティグ費用として計上した数百万ドルの損金に関連する記録を提出するよう、召喚状を出したと報じた。費用の一部は、娘のイバンカ氏に支払われた可能性がある。
マンハッタン地検は捜査の一環で、昨年8月にトランプ氏が利用している会計事務所Mazars USAに対し8年分の納税記録などの提出を求めたが、トランプ氏は現職の大統領は刑事捜査の対象にならないと主張し、訴訟を起こした。納税記録の提出を巡る争いは、現在、最高裁判所に持ち込まれている。
選挙後、トランプ氏が家族に先制的恩赦を与えることを検討していると報じられた。またトランプ氏はこれまで、大統領は自分に恩赦を与える「絶対的な権限」があると主張している。しかし、大統領恩赦は連邦犯罪に関する訴追から保護するものの、バンス検事長らが進める州の犯罪捜査には適用されない。