微笑みだけで十分な存在感?リベラル派がメラニア夫人の「沈黙」に好感示したワケ

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共和党全国大会の最終日となった18日、メラニア夫人が満を持して会場に姿を現した。

大会が後半に差し掛かったころ、クラシック音楽を背景に、ディオールの真紅のスーツに身を包んだ夫人は、笑みを浮かべながらウィスコンシン州ミルウォーキーの会場ファイサーブ・フォーラムに足を踏み入れた。ライブ中継では、リラックスした表情で、総立ちの観客に手を振って応える姿が映し出された。

言葉を発することはなかったが、トランプ氏のスピーチが終了した後、ステージに上がり、異例の長尺演説を終えた夫の肩に手を置き、労をねぎらった。トランプ氏は驚いた様子で両手を大きく広げた後、夫人の頬にキスした。

2人がぎこちなくハグする様子を見たネットユーザーからは、「普通にキスするのかと思ったら、違った」「ナイスなフェイク・スマイル」「2人の間にケミストリーは感じられない。互いを知らない2人が交わすハグとキスだ」「メラニアは速攻でトランプのキスをシャットダウンした」などのコメントが投稿された。

夫人の沈黙に好感

メラニア夫人は今回の大統領選に関して、ファンドレイジングイベントを除き、集会にほとんど姿を見せていない。先月アトランタで開催されたテレビ討論会には出席せず、今回の党大会への出欠も前日まで不明だったと伝えられている。

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ファーストレディに関する歴史家キャサリン・ジェリソン博士はThe Hillに「ファーストレディの写真をたくさん撮るのは、党大会の中心的儀式の一つ」と説明しつつ、メラニア夫人の行動は「他とは異なる」と指摘。ただし「みなトランプ夫妻が、政治家夫婦としてのルールに従わないやり方に慣れている」と語った。

ピューリッツァー賞を受賞した政治批評家ロビン・ギヴァン氏はワシントンポスト紙に「彼女は微笑んだ。それだけで十分」と題した論説を掲載。メラニア夫人が創り出した新たなファーストレディ像について述べた。

夫人はこれまで、夫の願望や恐れを国民に知らせるための「パイプ役」や「メッセンジャー」にならないと明言しているほか、暗殺未遂事件後に発表した声明では、夫について「熱狂的に語らなかった」と指摘。「トランプ氏の政治的野望に渋々関与しているというよりも、関心がないようだ」と夫人のスタンスを分析した。

その一方で、歴史上、政治家の妻たちは夫の「支援者」となり、「言葉によって有権者をミスリードし」「積極的に悲惨な状況を美化してきた」と指摘した上で、ジル夫人もバイデン大統領に関して、有権者が見聞きしていることと「全く逆のこと」を伝えていると批判した。

「配偶者の視点は時に、時間や親しみ、感情によって曇ることがある・・・配偶者にとって最も雄弁かつ誠実なのは、沈黙を守り、有権者が知るために必要な全てのことを、候補者の言葉やイメージで語らせることかもしれない」とメラニア夫人の姿勢に共感を示した。