リベラル派の論客として知られる映画監督のマイケル・ムーア氏は、先月の大統領選討論会のバイデン氏の様子に「胸が張り裂けそうだった」と述べ、民主党の関係者はバイデン氏を選挙戦に留まらせて、「高齢者虐待」を行っていると主張した。
自身の最優先の仕事をトランプ氏の再選を阻止することだとするムーア氏は、7日のMSNBCの番組インタビューで、バイデン氏は「私の生涯で最もプログレッシブな大統領」であり、2020年の選挙で「悪魔を取り除いた」と感謝を示した上で、「ここで問題なのは、高齢者虐待の一形態が行われているのではないのかということだ」主張。「民主党と関係者らは、彼に留まるよう圧力をかけており、彼も出てきては”私は留まる”と言う。家族も”私は留まる”と言っている」と語った。
先月の討論会を見て「胸が張り裂けそう」だったと述べ、「なぜ誰も何もしてあげないのか。なぜ彼をあのような状態でステージに上げさえしたのか。誰が彼を気にかけているのか」と批判した。
「われわれは皆、愛する人が年をとるにつれて衰えていくのを見てきた。普通のことで、避けられない」と続け、「あの夜何かがおかしかった。われわれ全員がそれを目にした。見なかったふりはできない。….私を信じるのか、それとも君たちの嘘つきの目を信じるのか」と視聴者に訴えた。
バイデン氏本人や陣営は、当日は風邪をひき、外遊による疲労が蓄積していたと釈明しつつ、討論会は単に「悪い夜」に過ぎなかったと説明している。
また、バイデン氏は討論会後初のテレビインタビューで、「私以上に大統領になる資格、またはこの選挙戦に勝つ資格のある人物はいない」と宣言。神のお告げでなければ撤退を検討しないと述べるなど、選挙戦を継続する意思を明確にした。
昨年10月以降、バイデン氏のイスラエルとガザの対応を厳しく非難しているムーア氏は、激戦州の地元ミシガン州についても言及。
心身の衰えに加え、30万人とされるアラブ系およびイスラム教徒のバイデン氏の支持率は20%以下に低下し、このままでは勝利できないと主張。テルアビブの空港でバイデン氏がネタニヤフ首相とハグをしたエピソードに触れ、「政治家の一番の仕事は、何があっても再選されることである」が、バイデン氏の「政治的本能」はもはや機能していないと語った。
なお、ムーア氏は自身のブログで、バイデン氏が撤退をした場合、「トランプ氏を阻止するだけでなく、大統領執務室に女性を初めて送り出した勇敢な男」として長く記憶される大統領になると主張するなど、カマラ・ハリス副大統領への支持を表明している。