米NBCのスポーツキャスター、マイク・ティリコ(Mike Tirico)氏は17日の番組で、ロシアオリンピック委員会(ROC)やコーチを「悪党ども」と非難。国際オリンピック委員会は、さらに厳しい制裁を科すべきと主張した。
12月のドーピング検査で陽性反応が出ていたことが発覚したカミラ・ワリエワ選手(15)について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、北京五輪への出場継続を認める裁定を下した。16歳未満で「保護対象」であることなどを理由に挙げている。ワリエワは、その後のショートプログラムで首位を獲得したが、フリーでミスを連発し、4位に終わった。
演技を終え、うなだれるワリエワ選手に対し、コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏は、表情を変えることなく、叱責する様子がテレビで放送された。
ティリコ氏は、「悪役として描かれた者もいれば、被害者もいる。ワリエワは悪党どもの被害者だ」と選手を擁護。禁止薬物の服用について、画策や処方されたものなのか、事実は明らかではないと述べつつ、「彼女を守ることができなかったのは、明白」と指導者らの責任を問うた。
2014年のソチ五輪で、組織的なドーピング違反が発覚したロシアは、過去3大会で、国としての参加を禁じられている。
ティリコ氏は「”連座の誤謬”というのは、しばし公平ではないが、ここではそう言うのが適切だ」と述べ、「取り決めは、潔白なロシア人アスリートに競技の機会を提供し、公正な条件を確約する予定だったが、そのシナリオは完全に崩壊した」と指摘。「冬季五輪の目玉ともいえる種目の名誉を傷つけ、すべてのスケーターの大切な瞬間を奪った」と語った。
さらに「IOCは今こそ、立ち上がる時だ」と主張。ロシアを長期間、主催国にしないことや、厳格で透明性のある検査の実施を求めるなど、ICOが迅速な行動を取らなければ、「オリンピックの未来は、危険にさらされるだろう」と警告した。