Xのオーナー、イーロン・マスク氏は、全国的なTikTokの禁止につながる可能性のある法案に反対の意を表明した。
法案は先週、下院エネルギー・商業委員会を全会一致で通過したもので、共和党の下院のリーダー、スティーブ・スカリス議員は13日にも下院採決にかける意向を示している。
法案は、Bytedanceを名指しし、敵対国がコントロールするアプリの国内での配布、維持、更新を禁止するとしている。アプリストアやホスティングサービスに対して法案施行から180日以内に扱いを停止しなければならないとする一方で、期日内に適正な売却がなされた場合は除外するとしている。
法案を主に支持するマイク・ギャラガー議員(共和党、ウィスコンシン州)とラジャ・クリシュナムルティ議員(民主党、イリノイ州)は、中国が所有していることでTIkTokは米国の国家安全保障に重大な脅威」をもたらしていると説明。アプリは、米国の世論に影響を与えたり、ユーザーデータがアメリカ人をスパイするために使用されたりする可能性があると主張している。
これに対してマスク氏は12日、Xのアカウントを更新し「この法律は単にTIkTokに関するものではなく、検閲と政府の統制についてだ」と批判。「TikTokだけであるならば、外国のコントロールを問題とするだけで済むはずだが、そうではない」と主張した。
理由は異なるが、Truth Socialを所有するトランプ氏も反対を表明している。11日、CNBCのインタビューで、TikTokがなくなると「国民の的」のフェイスブックをより巨大化させると主張。さらに「TikTokを使うヤングキッズたちが発狂する。たくさんのユーザーがいるんだ」とも述べた。
なおトランプ氏は2020年に大統領令によってTikTokを禁止しようとし、失敗した経緯がある。安全保障上の懸念について「このプラットフォームには良い面と悪い面がある」と語った。
法案はマイク・ジョンソン下院議長や複数の委員会のリーダーが法案を支持する姿勢を示していることから、ワシントンポスト紙は、下院を通過する見込みがあるとしつつ、民主党が多数党の上院では厳しいとの見方を示している。トランプ氏は仲間の共和党に反対する一方で、バイデン大統領は議会を通過した場合は署名する意向を表明している。
ちなみにポスト紙は同日、関係者の話しをもとに、トランプ氏が昨年夏、マスク氏にTruth Socialの売却をもちかけたことがあったとし、二人の間には一般に考えられているよりも多くのコミュニケーションがあると報じた。先週はニューヨークタイムズが、選挙で大口の寄付者を探しているトランプ氏が先月、マスク氏や有力な寄付者とフロリダのマール・ア・ラーゴで会ったと報じている。