イスラエルのネタニヤフ首相とハマスは、「奇妙な共生」関係にあり、敵でありながら互いに有用であることを認識してきた。ワシントンポスト紙が専門家の見解を交えて報じた。
2006年にパレスチナ評議会選挙に勝利したハマスはイスラエルの破壊を誓い、2009年にイスラエルの政権に返り咲いたネタニヤフ首相は、ハマスの壊滅を訴えて選挙戦を戦った。
しかし、ネタニヤフ氏は公約を追求する代わりに、ハマスが実効支配するガザとパレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸の2つに分断されたパレスチナの現状を破壊しない戦略をとってきた。
こうした現状を変えないことは、イスラエルの占領に反対するパレスチナ人の力を妨げ、ネタニヤフ氏や二国家解決案に反対する者たちにとって好都合だったという。
イスラエルのある選挙アナリストは同紙に「統一したリーダーシップがなかったため、ビビ(ネタニヤフ氏の愛称)は和平交渉を進めることができないと主張することができた」と指摘。「おかげで彼は、誰も話す者がいないと言えた」と語った。
ネタニヤフ氏はパレスチナ問題を「ほぼ脇に置く」一方で、イランの脅威やイスラエルを経済大国に発展させることに焦点を当てていたという。
別の専門家は、ネタニヤフ氏はパレスチナ問題を「底なし沼」と呼び、政治のくさびとして使用され、邪魔になっていると感じていたと説明している。
ポスト紙はまた「歴代のネタニヤフ内閣は、ハマスに対する圧力緩和につながる動きを承認した」とした上で、「定期的な囚人の解放に合意し、ガザの公務員給与の支払い、インフラの整備、そしてハマスの軍事作戦への資金提供のためのカタールからの送金に同意した」「2018年にハマスとパレスチナ自治政府が回復に近づいたときでさえ、両者の和解を阻止することを望んでいた」と指摘している。
同紙の取材に、イスラエル政府の高官は「彼は史上で最も発言が引用されている首相だが、ハマスの強化を訴えるよう発言は見つけることはできないだろう」と反論。「彼は、どの首相よりもハマスを激しく攻撃し、2012年、2014年、2021年と三度にわたって大規模な軍事作戦を指揮した」と話した。「彼はハマスを壊滅させなかったが、10月7日の残虐行為以降、それは彼の戦時内閣が国防軍に指示したことだ」と加えた。
ネタニヤフ氏は、人質240人に加えて死者1,200人、負傷者6,900人を出すことになった7日の攻撃を阻止できなかったことで、国民の強い非難にさらされている。世論調査では、イスラエル国民の76%が、すぐに辞職するか戦闘が終結したら更迭されるべきだと考えていることが示された。
ハマスは現在、4日間の停戦合意に基づく人質の解放を進めている。27日(月)の最終日に4回目を予定しており、合計50名の人質と、イスラエルのパレスチナ人の囚人150名が解放される予定とされている。