ストリーミング配信大手ネットフリックス(Netflix)は25日、夏に閉館したマンハッタンの老舗映画館「パリスシアター」(Paris Theater)を所有する不動産会社と契約し、引き続き同劇場での上映を継続すると発表した。今後Netflixのホーム劇場として、オリジナル作品の上映やイベント、試写などを実施する予定だという。
同社のテッド・サランドス(Ted Sarandos)チーフ・コンテンツ・オフィサーは、「71年経った今でもパリスシアターは不朽の遺産であり、比類のない映画体験ができる場所だ。このニューヨークの歴史的な施設を保存し、映画を愛する人々のためのホームであり続けることを、大変光栄に思っている。」と述べた。
ストリーミングサービスの台頭や賃料の高騰などを背景に、アートハウス系映画館の閉鎖が相次ぐなか、大手のNetflixが救済する形となった。
夏に閉館した創業71年目の老舗劇場
1948年にオープンしたパリスシアターは、マンハッタン唯一の1スクリーン劇場で、586の座席を有する。今年8月、劇場の賃貸契約を更新しないとして、ロン・ハワード監督のドキュメンタリー映画「パヴァロッティ」(Pavarotti)を最後に閉館した。
その後Netflixが10月、ノア・バームバック(Noah Baumbach)監督最新作の『マリッジ・ストーリー』(Marriage Story)をストリーミング配信前に、11月より期間限定で劇場上映すると発表。
今回の新たな契約締結により、『マリッジ・ストーリー』は2週間上映期間が延期された。公開終了日については決定していない。
アカデミー賞にノミネートされるためには、一定期間の劇場公開が要件とされているが、大手チェーン劇場はストリーミング配信作品の上映を避ける傾向にある。
Netflixのもう一つの注目作品、マーティン・スコセッシ監督のギャング映画『アイリッシュマン』(The Irishman)は、ブロードウェイの「ベラスコ劇場」(Belasco Theater)で上映中となっている。