ニュージャージーのフィル・マーフィー(Phil Murphy)州知事は18日、小売店や飲食店が現金支払いを拒否することを禁じる法案に署名した。
新法は、一部の例外を除き、ほとんどの店舗に適用される。1回の違反で最大で2,500ドル、2回違反した場合は5,000ドルの罰金が科される。さらに違反すると、州の消費者詐欺法に対する違反とみなされ、最大2万ドルの罰金が科される可能性がある。
電話や郵便、オンラインによる注文は例外となるほか、市営駐車場やモバイル決済を受け付けている駐車施設、レンタカーの一部が除外される。また空港は、少なくとも現金を受け付ける店舗が2店舗ある場合は、例外が適用される。
法案を作成したポール・モリアティ議員(民主党)は、「多くの人々が消費者信用にアクセスできない。小売店が現金を禁止しようとする努力は、これらの人々に対する差別である」と、規制の理由について述べた。
キャッシュレス店を禁止にする法案は、今月初めにフィラデルフィアで成立した。州レベルで禁じられるのは、これまでマサチューセッツ州のみで、ニュージャージー州は2番目となる。
なお連邦法では、私企業に対して紙幣や硬貨の受け入れを義務付けていない。そのため、州法で禁じない限り、私企業は、現金の支払いに関する独自の方針を実施することができる。
キャッシュレス店禁止に対しては、業界からの反発が上がっている。
ニュージャージー経済産業協会のマイケル・ウォレス政務副代表は、「小売店がキャッシュレスにするのは、多くの場合、効率性のためであり、時に安全対策のためである」と、差別目的ではないことを強調し「全ての収入水準の消費者は、購入するためにプリペードカードにアクセスすることができる。よって、この法律はイノベーションを阻害し、ニュージャージー州で事業を行うことへのさらなる抑止となる」と、反対を述べた。
昨年12月に発表されたピュー・リサーチ・センターの調査によると、アメリカ人のキャッシュへの依存度は下降傾向にある。調査では、典型的な一週間において、29%がキャッシュを使用しなかったと答え、2015年の24%から5%上昇した。一方、すべて、またはほとんどの買い物でキャッシュを使用した人は2015年の24%から下降し、18%となった。
キャッシュレス店を禁じる法案は、現在シカゴやニューヨーク市、サンフランシスコ、ワシントンD.Cでも検討されているという。