ニューヨーク公共図書館(NYPL)のシュワルツマン・ビルディング前に鎮座する2体のライオン像の修復工事が完了し、再びその雄々しい姿を現した。
正面南側の「ペイシェンス」(Patience)と北側の「フォーティチュード」(Fortitude)は9月頭より約9週間壁で囲われ、レーザーでのクリーニングやヒビの修復が行われていた。
像はピンク大理石で造られており、バスや車の排気ガスなどで劣化するため、7年から10年おきに保全のための修復工事が必要だという。修復費用は27万ドル(約2,950万円)で、後援者などの寄付金や、ニューヨーク生命財団(The New York Life Foundation)の助成金で賄われた。
同図書館のアンソニー・W・マルクス(Anthony W. Marx)館長は声明で、「ライオンたちは充分にスパトリートメントを満喫し、ビジターを出迎えるため5番街に戻ってきた。」と述べ、「1世紀以上にわたり、ペイシェンスとフォーティチュードは図書館の外に鎮座し、暗黒の時代においても、真実や知識は常に勝ることをニューヨーカーや学者、ビジターたちに確証している。次世代の人々をインスパイアし続けるためにも、皆が愛する高貴なライオン像を、最高の状態に保つことは私たちの責務である。」と語った。
図書館の開館と同時に設置
ピシリーリ兄弟(The Piccirilli Brothers)が彫刻した2体の彫刻は、1911年5月23日、図書館の竣工と同時に設置された。ブロンクス出身のピシシーリ兄弟は、リンカーン紀念堂のリンカーン大統領の坐像の彫刻などで知られる。
ライオン像は、図書館の創設者ジョン・ジャコブ・アスター(John Jacob Astor)氏とジェームズ・レノックス(James Lenox)氏の名前にちなみ、レオ・アスターとレオ・レノックスと呼ばれていた。
その後1930年代の世界大恐慌時、市を復興に導いたフィオレロ・ラガーディア(Fiorello LaGuardia)ニューヨーク市長が、「ニューヨーカーがこの時代を乗り切るのには、忍耐(patience)と不屈の精神(fortitude)が必要だ。」と述べ、現在の名前に変更された。
建築批評家のポール・ゴールドバーガー(Paul Goldberger)氏は2体のライオン像を「ニューヨークで最も愛らしい公共の彫刻」と称するなど、現在では図書館のシンボルとなっている。