ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事は15日、緊急の行政措置により、メンソール以外のフレーバー付き電子タバコの販売を禁止すると発表した。同様の販売禁止措置は、ミシガン州に次いで2州目となる。
発表によると今後2週間で、州の公衆衛生および保健計画委員会(PHHPC)が緊急規制を発行する。
クオモ知事は会見で「電子タバコは危険だ。」と断言。電子タバコは、若者をニコチン中毒にするほか、長期的使用がもたらす健康への影響が研究されていないと禁止の理由を述べた。また禁煙のためには、禁煙パッチ、禁煙ガム、セラピーなど代替方法があり、人々の禁煙を助けることで公衆衛生に寄与するという企業側の主張は正当化できないと述べた。
一方、メンソールの扱いについては議論の余地があると表明。他の禁煙方法で失敗したメンソールの喫煙者の禁煙に、メンソールの電子タバコが役立つというデータがあるとし、今回の禁止対象には含めないと語った。
クオモ知事はさらに、来年若者への電子タバコの広告を禁止する法案を、議会にはかる意向を明らかにした。また、18歳以下(11月13日以降は21際以下に引き上げ)への販売は犯罪であると述べ、州保健局と協力して、違法に販売する店舗への取り締まりを実施すると語った。
発表によると、高校3年生の40%が電子タバコを使用しているという。知事は、違法に販売する店に対して、刑事制裁のほか、罰金やペナルティ、ライセンスの失効など、様々な方法で取り締まることが可能だと述べた。
JUULは決定に従うと発表
電子タバコ最大手のジュール・ラブズ(Juul Labs)の広報担当、オースティン・フィナン(Austin Finan)氏は、ニューヨーク州の販売禁止措置に関して、レビューを行うと述べ、「フレーバー製品への積極的な対応の必要性については同意する。」と表明した。
ジュールは昨年12月より、マンゴーなどを含むフルーツフレーバーの製品を販売を停止している。州法や食品衛生局(FDA)の決定には従うとしている。
電子タバコ関連の死者は6人に
米疾病予防管理センター(CDC)は6日、33州とアメリカ領ヴァージン諸島から、電子タバコの使用に関連した450以上の肺疾患の症例が報告されていると発表。これまでに6人の死亡が確認されている。
疾患の原因となった物質や製品は特定されていないとしつつ、調査の間、電子タバコの使用中止を検討するよう呼びかけた。発表によると、患者の多くが、テトラヒドロカンナビノール(THC)など大麻成分を含んだ液体の電子タバコ製品を使用していた。
ニューヨーク州では保健局が5日、大麻成分を含んだ電子タバコ製品との関連が考えられる肺疾患について、15歳から46歳の34人の症例の報告を受けたと発表。同局は検査の結果、共通して高レベルのビタミンEアセテートが含まれていたたとことが判明したとし、調査の焦点を、同物質にあてていると述べた。
トランプ政権も11日、フレーバー付き電子タバコを禁止する方針を発表している。
なお、ニューヨーク州では今年7月、電子タバコを含むタバコ購入年齢を21歳に引き上げる法案が成立した。高校生のタバコ喫煙者は約3万5000人で、平均13歳から喫煙を始めている。また、2014年から2016年の間に、電子タバコを使用する青年の数は2倍となり、健康被害が懸念されていた。