ハリス氏の蜜月期間は終了?米有力紙「JOYだけでは勝てない」と警告

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メディアとカマラ・ハリス副大統領との「ハネムーン期間」は終わりを迎えつつあるようだ。ロサンゼルス・タイムズやニューヨーク・タイムズなどの有力紙がハリス氏に厳しい意見を向け始めた。

ニューヨーク・タイムズの論説副委員長パトリック・ヒーリー氏は23日、「喜びは政治戦略ではない」と題した論説で、民主党大会での国民に対するメッセージは「ハリスは喜び(JOY)」だったと振り返りつつ、「喜ばしいママラ(義理の娘がつけた呼び名)では選挙に勝てない」と警告した。

党大会の演説は素晴らしかったと評価しつつも、記者会見やインタビューを避け続けているハリス氏は、「有権者の信頼を得るという課題を過小評価している」と批判。「居心地の良い場所から抜け出し、自身を証明する必要がある」「オバマは”ホープとチェンジ”で楽をせず、2年間の厳しい選挙活動で信頼を勝ち取った。ハリスも”ジョイ”で楽することはできない」と有権者に積極的に働きかけるよう求めた。

同紙は26日に、保守系「ナショナル・レビュー」のリチャード・ローリー編集長の論説「トランプ氏は人格でも勝利できる」を掲載した。ローリー氏は、米国の大統領選は政策論争だけでなく、その候補者が「大統領職にふさわしいかどうか、資格や信頼性、強さ、一般的なアメリカ人を気にかけているかどうか」という「人柄」が勝敗を決すると主張。

ハリス氏は「変幻自在な日和見主義者」「弱々しく、見かけ倒しで、国や中流階級のことを気にかけない人物」と述べ、トランプ陣営に対し「ハリス氏は大統領になるべきではない、または、なれないという徹底的な議論を展開すべき」と提言した。

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その翌日、金融ジャーナリストのロジャー・ローウェンスタイン氏は、両候補者の経済政策に関する論説をタイムズに寄稿した。トランプ氏の関税対策は「無意味な結果」を招いたと批判。ハリス氏が提案する食品価格の統制についても、「批判的で曖昧」「自由市場原理の暴力に等しい」と非難した。

過去1年間で上昇した食品価格はわずか1%だとして、ハリス氏の提案は「もはや存在しない問題への対応」とも指摘。「価格統制は、例外なく品不足やサプライチェーンの混乱、最終的に価格上昇に繋がることを彼女が知らないように思えるのはやや幻滅」と落胆を示した。

ロサンゼルス・タイムズの編集委員会は24日、「ハネムーンは終わった」と題した論文を掲載。ハリス氏の指名受諾演説を「腐敗した対抗馬とは異なり、大統領職として信頼しうる、有能かつ献身的なリーダー」としてアピー​​ルすることに「大成功した」と評する一方で、「トランプ氏が大統領職に不適格だと繰り返すだけでは不十分」だと主張。「国民の生活と暮らしを改善するために、さらなる努力を重ね、国に対するビジョンを示し、有権者に”すべてのアメリカ国民の大統領”になる準備が整っていると国民を説得しなければならない」と呼びかけた。

リベラル派のコメディアン、ビル・マー氏も、メディアの取材を受けようとしないハリス氏は「トランプよりも侮辱的」と非難した。

23日放送の番組で、ゲストのCNNのキャスターに「トランプがあなた方を”民衆の敵”と呼ぶのは極めて悪いが、彼女は、”私はあなたを必要としていない。あなたとは話さない。あなたは重要ではない。私には関係ない”と主張しているようなものだ。”私はあなたが嫌いだ”と言うよりはるかに悪い」と語った。

CNNは27日、ハリス氏の独占インタビューを放送すると発表した。ただし副大統領候補のティム・ウォルツ氏も同席することなったことについて、専門家の一部からは「政治的手腕における自信の欠如を示すもの」といった声も上がっている