ニュージャージー州を中心に謎の飛行物体の目撃が相次いでいる問題をめぐって、ニューヨークのホークル州知事は議会と政府に対応を求めた。
知事は14日に発した声明で、11月中旬に州インテリジェンスセンターに対して連邦の法執行機関と連携してドローンの目撃情報の調査を指示しているとした上で、「州法執行機関がこの問題に取り組めるよう、議会に無人航空機システム対策権限の安全保障、安全性、および再承認法の通過を求めている」と説明。「この法案はドローン対策の法的権限を改革し、連邦航空局のドローン監視を強化し、対ドローン活動を特定の州および地方の法執行機関にまで拡大するものだ」と加えた。また、法案によって地方当局に権限が付されるまでの間、「バイデン政権は連邦捜査当局を派遣して介入する必要がある」とするなど、政府に対応を求めた。
CBSによると、謎のドローン出没騒ぎは11月中旬にニュージャージー北部のモリス郡で目撃されたのを皮切りに、州全域、そしてニューヨークやペンシルベニアといった周辺州にまで拡大している。
軍事演習の可能性は?
モリス郡にはアメリカ陸軍戦闘能力開発軍団(DEVCOM)のヘッドクオーターが置かれ、兵器の研究製造を担うピカティニー兵器廠がある。陸軍当局は、今週少なくとも基地上空で11件の目撃情報があったと明らかにしている。ただし、ローカル紙が月曜日に入手した声明によると、基地司令官のクレイグ・ボナム中佐は、ドローンは自分たちのものではないとし、関連を否定している。
このほか、NJ.comによると、モンマス郡にある海軍基地上空でもドローンが確認された。同施設の報道官は12日、「施設への直接的な脅威は確認されていない」とした上で、「少なくとも2回、正体不明のドローンがアール海軍兵器基地の上空に侵入したことが確認されている」と明らかにした。
国防総省の報道官、サブリナ・シン氏は11日に開いた記者会見で、「これらは米軍のドローンではない」と自国の軍事活動との関連を否定。さらに、「現時点で、これらの活動が外国組織によるもの、あるいは敵対勢力によるものであるという証拠はない」と述べた。
ネット:UFO?政府の陰謀?
ネットでは一般人が撮影した映像が多数投稿されている。中には銃で撃ち落とそうとする映像もある。米軍ドローンの試験飛行を唱えるユーザーからUFO説、さらには新世界秩序の確立に向けた政府の陰謀を主張する者など、さまざまな意見が投稿されている。
あるユーザーは「軍がPtero Dynamicsの新型ドローン艦隊をテストしているのだと思う」と主張。別のユーザーは「これはドローンではない。ニュージャージー州で、何万人もの目撃者と大量のビデオを伴う本格的なUFO / UAPイベントがリアルタイムで発生している」と投稿した。
週末には「ブルービーム計画(Project Blue Beam)」が一時トレンドになるなど、90年代に生まれた陰謀論を疑うコメントが相次いで投稿された。
ブルービーム計画は、米航空宇宙局(NASA)が、全人類に反キリストの”ニューエイジ宗教”を信じ込ませるために科学技術を用いた壮大なマインドコントロールを画策しているという説で、カナダ人ジャーナリスト、セルジュ・モナスト(Serge Monast 1945-1996)が1994年に発表したエッセイで唱えた。モナスト氏によれば、計画は国連による”新世界秩序”確立の一環で、新たな普遍的宗教はその土台になる。
エッセイには、人工地震を起こして各宗教の教義を否定する発見をでっち上げたり、ホログラフィック技術を使用して天体現象やエイリアンの侵略をシミュレートしたり、電子双方向通信や体内に埋め込んだチップを起動させたりして、全世界の人々が自由を放棄してでも新たな救世主と世界政府を受け入れる状況が作り出されるといった内容が記されている。