ルパード・マードックのニューズコーポレーション傘下のニューヨークポスト紙は22日の社説で、議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会による議会公聴会に触れ、トランプ氏が支持者らの暴力を止めようとしなかったことは明らかと非難。大統領に返り咲く価値がないことを自ら示したと述べるなど、再選に不支持の立場を示した。
編集委員は、トランプ支持者がペンス副大統領の首吊りを呼びかけあって議事堂に乱入する間の3時間と7分間、トランプ氏はホワイトハウスのダイニングルームに座って、テレビを見ていたと指摘。
トランプ氏の直前の演説が「扇動」にあたるかは議論の余地があるとしつつ、「暴力を止めようと指一本動かさなかったことは、火を見るよりも明らか」と述べ、「沈黙による扇動である」と糾弾した。
さらに、側近らがトランプ氏に、支持者に家に帰ることを呼びかけるよう求めたにも関わらず、「マイク・ペンスはわれわれの国と憲法を守るために為すべきことをする勇気がない」とツイートして煽ったことは「永遠の恥」と厳しく批判した。
トランプ氏の狙いは、平和的な政権交代を阻止する手段をなんとしても見つけることにあったとした上で、暴力の阻止を拒絶したことには、弁解の余地がないと主張。トランプ氏の行為が犯罪となるかは司法省の判断次第とする一方で、「トランプ氏は、再びこの国の最高責任者になる価値がないことを、自ら証明した」と宣言した。
同紙は先月の社説でも、トランプ氏が、一切の証拠なしに選挙不正説にこだわり続けていると非難。フロリダ州のロン・デサンティス知事とマイク・ポンペオ元国務長官、ニッキー・ヘイリー元国連大使の名を挙げた上で「2024年の候補者は豊富」と述べ、「共和党は前進する時」と呼びかけた。
トランプ氏は、以前から再出馬の可能性をほのめかしているが、正式には表明していない。先日、ニューヨークマガジンの取材に「心の中では決意した」と告白し、表明のタイミングが問題だと語ったと伝えられている。