米紙コラムニスト、トランプ支持者を「見下さないよう」読者に求めるも…

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ニューヨークタイムズのコラムニスト、ニコラス・クリストフ氏は31日に掲載した論説で、大統領選に勝つために、トランプ氏の支持者を「ステレオタイプ化したり、貶めたり」するのをやめ、理解に努めるよう求めた。

同氏は、先月の民主党全国党大会でのクリントン元大統領の演説を、「最善のアドバイスの一つ」と称賛。クリントン氏はスピーチで、選挙戦における思い上がりに警鐘を鳴らし、「彼ら(トランプ支持者)を侮辱しないように。・・彼らに敬意を持って接するように、あなたがそう扱ってほしいと思うようなやり方で」と、反対の立場を尊重するよう促した。

その上で、クリストフ氏は2016年大統領選以降のリベラル派は、「トランプ氏に共感する人々を、人種差別主義者や偏狭な人と悪者扱い」する傾向にあると指摘。また「オバマ政権以来、民主党はますます教育を受けた人々の政党となり、労働者階級の有権者や、特に信仰を持つ有権者に対し、見下した気配を醸し出すようになった」と変化に触れつつ、「高学歴で成功したエリートが、労働者階級のアメリカ人、経済的、社会的に取り残され、若くして亡くなる人々をさげすむのは、道徳的に不快に思う」と述べ、「彼らには侮辱ではなく共感が必要だ」と歩み寄りを求めた。

クリストフ氏が住む地域の友人の多くはトランプ支持者だという。中には工場の閉鎖で仕事を失い、薬物中毒になった後、福音派の教会に助けられた女性がいると明かした。さらに、夫を薬物の過剰摂取で亡くし、息子も依存症の問題を抱える散髪屋の女性は、政治にほとんど関心がなく、トランプ氏も支持していないが、食料品の価格が高すぎると民主党に立腹していると説明。薬物中毒者への対策など、国の対応は「痛ましいほど弱い」と非難し、「労働者階級のアメリカ人は裏切られたと感じる権利がある」と述べた。

クリストフ氏は、米国では74%が神を信じ、25歳以上で4年制大学の学位保持者はわずか38%だとし、「見下したような態度は、負ける戦略」だと警告。彼らは「善良かつ勤勉、民主党の勝利の恩恵を受けることができる人々」と述べ、民主党は「政治的思想の犯罪者として猛攻撃するのではなく、戦うべきだ」と呼びかけた。

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トランプ支持者への共感を求める論説に対し、読者からは反論の声が寄せられている。

「非常に良い論点だが、低学歴で貧しい人よりも、裕福で権力を持ち、高学歴のトランプ支持者を懸念している」
「彼らを軽蔑していないが、彼らが、ナルシストで、重罪犯で、安っぽい詐欺師の扇動家があらゆる問題を解決してくれると考えていることは非難する」
「彼らが見た目や生活の異なるアメリカ人に、同様の礼儀を示してくれたら教えて。私も検討する」
「ひどい人種差別や外国人嫌悪や、女性蔑視、とてつもないヘイトだ。・・彼らの残酷さは受け入れられない」
「彼らは取り残されたのではない。・・道徳的かつ知的怠惰を選択した結果だ。・・トランプが大統領に不適格であることを自らの言動で完全に証明しているのに、彼が大統領にふさわしいと言う人々を”尊敬”するのは難しい」など、コメント欄には厳しい意見が並んだ。両者の溝はなかなか埋まらないのかもしれない。