ニューヨーク市郊外の都市ヨンカーズの警察は14日、67歳のアジア人女性に120回以上殴る蹴るの暴行を加え、大けがを負わせたとして、42歳の男をヘイトクライムの殺人未遂などの罪で起訴したと発表した。
起訴されたのは、ヨンカーズ在住のタメル・エスコ被告(Tammel Esco)。11日午後6時ごろ、帰宅途中の女性に「アジアン・ビッチ」と差別的な暴言を浴びせた。女性が無視して自宅のある建物に入ると、後をつけて侵入。背後から殴りかかり、地面に倒した。その後も両手で125回殴ったほか、足で7回踏みつけ、唾を吐きかけた。
▼ヨンカーズ警察が公開した監視カメラの映像には、残忍な犯行の様子が撮影されている。
被害者は、頭部や顔に切り傷や打撲のほか、顔面骨折や脳出血などのけがを負った。現在入院中で、命に別条はないという。
エスコ被告は、通報を受けた警察官によって、現行犯逮捕された。
ヨンカーズ郡警察のジョン・ミュラー本部長は声明で、「今までで最も恐ろしい事件の一つ」と述べ、「憎悪的な暴力や行為は許されないというメッセージを送るため、最も重い刑罰が科せられなければならない」と訴えた。エスコ被告には、過去14回の逮捕歴があるという。
アジア系アメリカ人と太平洋諸島の人々への暴力や嫌がらせを追跡する団体「Stop AAPI Hate」によると、2020年3月から2021年12月に報告されたアジア人に対する事件は、1万件を超えた。91.5%が人種に関連するものだという。ニューヨーク州での事件は全体の15.7%で、カリフォルニア州(38.1%)に次いで多い。