ニューヨーク市運輸局(DOT)は、渋滞を解消するため、100台のカーゴバイク(Cargo Bike、配達用電動自転車)の運用を試験導入すると発表した。アマゾン、UPS、DHLが商業用カーゴバイク・パイロット・プログラムに参加する。
同プログラムは、2021年から始まる混雑課金の対象エリア(60ストリートからバッテリーパークまで)で行われる。
3社が運用するカーゴバイクは、現在トラックが停車する荷積み場所のほか、自転車用レーンを使用する。トラック同様、パーキングメーターで停車料金を支払う必要はない。DHLによると、1台あたりの容量は約135キログラムで、100点から150点の荷物を配送できるという。
100台のうち既にアマゾンが90台を運用しており、市が効果的だと判断した場合、台数を増加する可能性もある予定だという。アマゾンは、カーゴバイクの導入は市の掲げる2040年までに二酸化炭素排出量をゼロにする取り組みの一環だとしている。
カーゴバイクの導入により、市内の渋滞緩和や環境保護のほか、二重駐車の減少や事故削減などの効果が期待されている。
現在ニューヨーク市では1日あたり150万個の荷物が配送されており、配達用トラックの乗り入れは道路混雑の原因の一つとなっている。盗難や紛失する荷物も1日あたり9万個あり、4年前から20%増加している。
配送量の増加に伴い、FedEXとUPSによる駐車違反は2013年より34%増加した。また今年発生した自転車事故27件のうち配送トラックに関連するものが13件で、市は交通事故の削減にもつながるとみている。
カーゴバイクはUPSが2012年にドイツのハンブルグで初めて導入し、現在はパリやロンドン、ダブリンな30カ国以上で運用されている。
CNBCによると、UPSは昨年よりシアトルでカーゴバイクの試験プログラムを開始している。また、DHLは2050年までに輸送によるゼロエミッションの達成や、2025年までにグリーン車でのラストマイルデリバリーを70%に向上させるなどの環境目標を掲げている。
同社は現在欧州で、”キュービサイクル”(Cubicycle)と呼ばれる自転車を配送に使用しているという。DHLエクスプレス・アメリカ(DHL Express America)のマイク・パーラー(Mike Parra)CEO(最高経営責任者)は「カーゴバイクは、これらの目標達成に重要な役割を果たすだろう。」と語っている。