ニューヨークでは30日、プライドマーチ(Pride March)が開催され、マンハッタンの街が鮮やかなレインボーカラーで埋め尽くされた。
今年は、LGBTQの人権活動が全米に拡大する契機となった事件「ストーンウォールの反乱」から50年目を迎える。
主催者の発表では、650団体、約15万人が行進に参加し、過去最大規模のパレードとなった。沿道に集まった300万人以上の観客とともに、この日を祝った。
今年のグランドマーシャルは、
1969年のストーンウォールの反乱後に組織された初のLGBTQ人権団体「ゲイ解放戦線」(Gay Liberation Front、GAL)立ち上げ時のメンバー、マーク・シーガル(Mark Segal)さんとカーラ・ジェイ(Karla Jay)さん、「トランスジェンダー・プライド・フラッグ」の創設者、モニカ・ヘルムズ(Monica Helms)さん、UKブラック・プライドの創設者のレディー・フィルこと、フィル・オポク・ギマさん、若者の自殺予防団体「トレバー・プロジェクト」(The Trevor Project)のアミット・パーレイ(Amit Paley)最高経営責任者、ニューヨークの1980年代を舞台にアンダーグラウンドなLGBTQカルチャーを描いたドラマ「ポーズ」(Pose)に出演するドミニク・ジャクソン(Dominique Jackson)さん、インディア・ムーア(Indya Moore)さん、MJ・ロドリゲス(MJ Rodriguez)さんが務めた。
開催にあたり、50年前の警察によるストーンウォール・インの踏み込み捜査でコミュニティの仲間たちとともに逮捕されたマーク・シーガルさんは、初めて公にでゲイであることを声高に叫んだ日を振り返りつつ、「50年前、この場に立つことを想像すらしなかった」と述べた。また暴動後、最初の一年間でLGBTQのコミュニティを形成した初の組織「ゲイ解放戦線」を始め、今日のコミュニティを支える多くの組織が誕生したと語った。LGBTQコミュニティのニュースメディア「Philadelphia Gay News」の発行人でもあるシーガルさんは、メディアを通じて、コミュニティの存在を高めることの重要性に触れ、「Be Visible!」とマーチへの期待を語った。
またトレバー・プロジェクトのアミット・パーレイ最高経営責任者は、LGBTQの若者の39%が自殺について考えたことがあるほか、自殺率がその他の若者に比べて40%高いなど、マイノリティの問題について言及。さらに、転向療法(コンバージョンセラビー)が、いまだ32州で実施されていることなど、乗り越えるべき問題を語った。
ストーンウォールの反乱50周年 NYCプライドマーチ
パレードは、トランスジェンダーの活動家、マーシャ・P・ジョンソン(Marsha P. Johnson)さん(1945-1992)と、シルビア・リベラ(Sylvia Rivera)に捧げられた。市は5月に、2人のトランスジェンダーのモニュメントを設置することを発表した。
沿道には数百万人の観客が訪れ、LGBTQコミュニティーに大きな声援を送った。
参加者は色とりどりの衣装やダンスで自分たちを表現した。
ニューヨーク選出の議員らも行進。LGBTQコミュニティーへのサポートを表明した。
ストーンウォールイン近くでは盛り上がりが最高潮に達した。
当日の様子(動画)
もう一つのマーチ
近年のプライドマーチは、商業的かつ警察官による警備が過剰になりすぎたことから、Reclaim Pride Coalitionが、もう一つのLGBTQパレード「クィア・リバレーション・マーチ」(Queer Liberation March)を開催した。
同日の9時半から、第1回目のプライドマーチが行われたグリニッジ・ヴィレッジのクリストファー・ストリートから、セントラルパークまで行進を行った。
(written by Chie Inoue)