ニューヨーカー家賃高騰に悲鳴?マンハッタンにあるワンルームのアパートメントに見学者が殺到し、75分待ちの長蛇の列ができた。ニューヨークポスト紙が報じた。
場所は、イースト・ヴィレッジのアベニューAにある専有面積371平方フィート(約34.5平米)のスタジオ(日本ではワンルームに相当)。部屋には小さいキッチンとクローゼット、バスルームとレンガの壁がむき出しになったベッドルームが備え付けられている。エレベーターはなく、3階まで階段を使用しなければならない。
家賃は2,337.39ドル(約31.5万円)で、マンハッタンの平均価格を下回る。さらに、毎年の家賃上昇率が行政によって規制されている「レント・スタビライズド」物件であることから、問い合わせが殺到した。SNSに投稿された動画には、階段から建物の外まで大行列ができる様子が撮影されている。
ニューヨーク市ではパンデミック後、家賃が高騰。ダグラス・エリマン社が今月発表したマーケットレポートによると、マンハッタンの家賃の中央値は、初めて4,000ドル(約54万円)を超えた。価格は、前年同時期(3,195ドル)に比べ、25.2%上昇している。賃貸物件は5,776件で、前年比で70%減少しており、超「貸し手市場」となっている。
イースト・ヴィレッジの物件を訪れた女性はポスト紙に、前の家のキッチンほどのサイズしかない。在宅勤務でカップルの場合「とても住める環境ではない」とぼやいた。女性は、家賃の2,850ドルの1ベッドルーム(1LDK)に住んでいたが、更新時に47%値上げを要求されたという。
同物件を取扱うブローカーは家賃高騰の背景について、マンハッタンへの居住を希望する「若い職業人」が増えたことに加え、在宅勤務者は、より広いスペースを必要とし、ルームメイトを敬遠する人が増加したと説明。一方で、開発による居住スペースは、ほとんど増加していないと語った。
なおレントスタビライズド物件に関して、ニューヨーク市賃貸ガイドライン委員会は先日、10月以降の契約更新時の家賃上昇率の上限を、1年間で3.25%(2年間で5%)に決定した。2013年以来の大幅値上げとなる。なお、前のデブラシオ政権下での最大の上昇率は1.5%だった。
リーガル・エイド・ソサエティは「脆弱な人々の家賃をあげることで、多くの家族が苦しむ。恥ずべき決定」と委員会を非難している。