10日朝、シリコンバレーバンク(SVB)のマンハッタンにある唯一の支店に、テック企業の創業者などが預金を引き出そうと詰めかけ、警察が出動する騒動があった。
金融規制当局は同日、SVBに閉鎖命令を発し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に指定。これを受けFDICは、保険対象の預金を保護するための組織を設立し、直ちに資金を移管したと発表した。これらの預金者らは、来週月曜日の朝までに預け入れた資金に完全にアクセスできるとしている。
SVBのマンハッタン支店は、ミッドタウンのパークアベニュー沿の建物内にある。ジャーナリストのエリック・ニューカマー氏によると、FDICの発表前、配車アプリ大手のリフトの元幹部を含む、十数名の創業者などが資金を移動しようとオフィスを訪れた。ただし中に入れてもらえず、ビルの管理者から通報すると警告を受けた。
午前9時過ぎにパトカー2台が到着し、警官らは建物から出るよう指示。結局、預金者らは諦めて帰らざるを得なかったという。
SVBは米国16番目の規模の銀行で、テック関連やスタートアップの顧客を多く抱えることで知られる。abcニュースによると、同社は、昨年ベンチャーキャピタルから出資を受け上場した国内のテクノロジーおよびヘルスケア企業のほぼ半数が顧客であるとしているほか、ShopifyやZipRecruiter、ベンチャーキャピタルのトップAndreessen Horowitzなど、大手とのつながりも自慢としている。
破綻の犠牲者には、インターネットプロバイダーのRokuも含まれる。同社の現金4億8700万ドルのうち約26%がSVBに預けられており、ほとんどが無保険だという。
同社は水曜日、有価証券を大量に売却し損失を計上する予定を発表する一方で、20億ドルの資金調達をする計画を明らかにした。その後、投資家や預金者の間に不安が広がり、木曜日の株価は60%下落。取引終了後、テック企業や創業者らが急いで資金を引き揚げているとメディアに見出しが踊ると、時間外取引でさらなる暴落を招き売買が停止された。
CNBCは10日朝、SVBが資金調達に失敗し、身売りの交渉に入ったと報じていた。