英王室離脱後に警護水準が「引き下げられた」として、英政府を訴えたヘンリー王子。裁判資料に、マンハッタンでパパラッチと「カーチェイス」を繰り広げた際の、ニューヨーク市警察(NYPD)による報告が含まれていたことが明らかになった。
ロンドン高等法院は28日、政府および王室・公人警護執行委員会(RAVEC)の警護水準の引き下げの決定に「理不尽はなかった。手続き上の不公平によって損なわれることはなかった」との判断を示し、王子の訴えを退けた。ヘンリー王子は控訴する意向を示している。
デイリービーストが入手したNYPDの書簡は、ジョン・B・ハート情報局長が昨年12月、ロンドン警視庁宛に送ったもので、ヘンリー王子とメーガン妃が2022年5月16日にイベントでマンハッタンを訪れた際の状況が報告されていた。
ハート氏はその中で、夫妻を追いかけるパパラッチによる交通違反や「執拗で、危険かつ容認できない行為」があったと説明し、「マンハッタン地検とレビューを行った結果、無謀な危険行為で2人を逮捕するのに十分な証拠がある」と結論を述べていた。また、夫妻が次回ニューヨークを訪れた際は、警備水準を強化する計画を示していた。
なお、ニューヨーク市警察の関係者はニューヨークポスト紙に、手紙は当局者が「誤って」送ったものだったと語っている。
追跡については、警察とマンハッタン地検による「綿密な捜査」が行われたとしつつ、「逮捕や起訴はないだろう」と事件に発展しないとの見方を示した。
さらに、パパラッチの追跡は、夫妻がニューヨーク市警察の指示に従わなかったことも要因の一つと指摘。2人は「当初計画していた場所に行こうとしなかった。ヘンリー王子は誰かが逮捕されるべきだと主張しているが、そのためには、われわれが現時点で持っていない証拠が必要となる」と事件化するのは難しいとの考えを改めて示した。
ヘンリー王子とメーガン妃は当時、パパラッチとのカーチェイスは2時間以上に及んだと主張。「あわや大惨事」になりかけたとして、メディアを厳しく批判していた。
▼2022年5月、「ウィメン・オブ・ビジョン賞」の授賞式に参加するため、マンハッタンのヒルトンホテルに到着した夫妻