ニューヨーク公共図書館(NYPL)のシュワルツマン・ビルディング前に設置された2体のライオン像が、9月より修復されることが分かった。
NYPLによると、工事は9月2日より9週間行われる。像はテネシー州のピンク大理石で造られており、レーザーでクリーニングされ、ボディに入ったヒビを修復する。
修復費用は25万ドル(約2,600万円)で、後援者などの寄付金や、ニューヨーク生命財団(The New York Life Foundation)の助成金で賄われる。
アイリス・ワインシャル (Iris Weinshall) COO(最高執行責任者)は「ライオンたちは寒い日も雨や雪の日も外にいる。7、8年に一度スパに行かねばならないのです。」と保全の必要性について、地元紙amNewYorkに語った。バスや車の排気ガスなどでも大理石の劣化は早まるという。直近では、2004年と2011年に保全のための修復作業が行われた。
100年以上図書館を守るライオン
図書館の顔ともいえるる2体のライオン、正面南側のペイシェンス(Patience)と北側のフォーティチュード(Fortitude)は1911年5月23日、図書館の竣工と同時に設置された。彫刻を手がけたのはピシリーリ兄弟(The Piccirilli Brothers)。ボザール建築の図書館は、当時としては米国最大の大理石の建築物として有名となった。
ニューヨークタイムズによると、設置当初は「押しつぶされたような顔だ」「口が開いていて、悠長に見える」「エラが張っている。」など市民からの評判は決して良くなかったという。
ライオン像は、図書館の創設者ジョン・ジャコブ・アスター(John Jacob Astor)氏とジェームズ・レノックス(James Lenox)氏の名前にちなみ、レオ・アスターとレオ・レノックスと呼ばれていた。
その後1930年代の世界大恐慌時、市を復興に導いたフィオレロ・ラガーディア(Fiorello LaGuardia)ニューヨーク市長が、「ニューヨーカーがこの時代を乗り切るのには、忍耐(patience)と不屈の精神(fortitude)が必要だ。」と述べ、現在の名前に変更された。
建築批評家のポール・ゴールドバーガー(Paul Goldberger)氏は2体のライオン像を「ニューヨークで最も愛らしい公共の彫刻」と称するなど、現在では図書館のシンボルとなっている。