先生にビンタをかます、自分を気絶させる、公衆トイレの便座を舐める、ジェルボール型洗剤を食べる…。TikTokでは、「チャレンジ」と称して危険な行為を試す様々な動画が話題を呼んできたが、今度は市販の風邪薬を材料に使った料理動画が物議を醸している。WBZラジオが伝えた。
話題になっているのは、「ナイクィル・チキン」または「スリーピータイム・チキン」というレシピ動画。「ナイクィル」はアメリカで市販されている夜用の風邪薬。カプセル状とボトル入りのシロップ状のものがあり、濃い青色が特徴。咳止め薬としても知られ、眠気を誘発する。
あるTikTokユーザーは、薄切りの鶏の胸肉をパッケージから取り出し、鍋に入れて、1ボトル分のシロップ状ナイクィルに浸して煮詰める様子を紹介。「いいね」の数は20万を超えている。
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別のユーザーは、昨晩妻が風邪になったから作ってみると話し、「ナイクィル・チキン」のレシピを紹介。蒸気だけで眠くなるなどと述べながら、チキンが真っ青に煮上がる動画を投稿している。このほか、パスタ作りに応用した「ナイクィル・パスタ」のレシピを紹介する動画など、バリエーションも登場しているという。
こうした事態に専門家は警鐘を鳴らし、風邪薬で作った料理が病気に効く根拠は一切ないとして、真似をしないよう呼びかけた。
バージニア・コモンウェルス大学で教鞭をとる医師、アーロン・ハーツマン氏はMic.comの取材で、薬を材料に料理することの危険性を指摘。「ナイクィルのような咳止め薬を沸かすと水分とアルコールが飛び、肉にかなりの量の薬物成分が吸収される。こうして調理された肉を食べるのは、ボトル4分の1から半分の薬を一度に消費することに匹敵する」と述べた。
さらにハンツマン医師は、調理の過程で起きうる別のリスクにも言及。「様々な薬物成分が含まれた薬を加熱すれば成分が蒸発する。調理中はそれを吸い込んでいる可能性が高く、薬の蒸気を吸い込むと成分は即座に血管に入り込む。肝臓で解毒されることもない。吸い込む量によっては、大変危険だ」と指摘した。
「ナイクィル・チキン」が話題を呼んだのは今回が初めてではない。2017年にも、鍋いっぱいに入れたナイクィルのシロップに鶏胸肉を浸した写真と、ナイクィルの染み込んだチキンを皿に盛った写真をペアで投稿したツイートが、一時話題になった。
フォロワー獲得のために、体を壊してしまっては元も子もない。専門家に耳を傾け、こうした料理には手を出さないのが得策だろう。