バイデン氏は無謀な賭け、米大手紙論説委員会が撤退を提言

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©MashupReporter

大統領選TV討論会から一夜明けた28日、大手紙がバイデン大統領に辞退を求める社説を掲載した。

ニューヨークタイムズの編集委員会は「国に奉仕するために、バイデン大統領は選挙戦から撤退するべき」と題した記事で、「木曜の晩、大統領は偉大な公僕の幻影として現れた。二期目に何を成し遂げるのか説明に苦労し、トランプ氏の挑発に応えるのに苦労した。トランプ氏の嘘や失敗、恐ろしい計画を追求するのに苦労した。文を最後まで言い終えるのに苦労したのは一度や二度ではなかった」と指摘。トランプ氏に勝つ可能性が最も高い候補者という肩書きは「もはや、バイデン氏が今年の民主党候補になるべき理由として十分ではない」と断じた。

「バイデン氏の指導の下、国家は繁栄し、さまざまな長期的課題に取り組み始め、トランプ氏によって引き裂かれた傷が癒されはじめた」と1期目を評価しつつ、「しかし、バイデン氏が今できることは、再選を目指して出馬を続けないことを発表することだ」と決断を求めた。

民主党に対して、「国民が自分たちの目で見たバイデン氏の年齢や弱さを大目に見たり無視したりすることを期待するのは」無謀な賭けであり、有権者に「トランプ氏とバイデン氏の欠点」の二者択一を迫って「国家の安定と安全」を危険にさらすべきではないと主張。「選挙戦終盤で新たな民主党候補者を求めるのは軽々しく決断されるべきではないが、それは、トランプ氏が国家の価値観や制度に挑戦していることの大きさと深刻さの反映であり、彼に対抗できないバイデン氏の能力不足の反映でもある」と論じた。

「バイデン氏に従ってきた民主党員は、今こそリーダーに明らかな真実を告げる勇気を持たなければならない。大統領の立候補を推奨し、台本なしの公の舞台から彼を守ってきた仲間や側近は、バイデン氏の地位が損なわれ、修復の見込みがないことを悟るべきである」と呼びかけつつ、「嘘によって定義づけられた対抗馬を破る最も明確な道は、アメリカ国民に誠実に対応することである。つまりはバイデン氏が選挙戦を続けることができないことを認め、11月にトランプ氏を破るために彼に代わってより有能な人物を選ぶプロセスをつくることである」と、新たな候補者の擁立を要求した。

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ワシントンポスト紙の論説委員会は、バイデン氏は選挙戦の継続が国家にとって最善であるか、私情を入れずに判断しなくてはならないと訴えた。

討論会について、「惨めなパフォーマンスは、彼がもう4年間世界で最も厳しい職務を続けられるのかという正当な疑問を呈した」と指摘。「木曜日の討論会で、トランプ氏はたやすく嘘を繰り返したが、バイデン氏は分割画面で太刀打ちできなかった。トランプ氏に対して説得力のある主張をするのは、頑強な対抗者でなければならない。バイデン氏の物忘れは一度や二度ではなく、トランプ氏の嘘の洪水に何度も反論できなかった」と批判した。

一方で土壇場で後任を選択するリスクにも言及。

党大会で別の候補を指名することになれば、「プログレッシブと伝統派リベラル、民主社会主義者と社会的に保守的な少数派有権者」といった党内の対立が瞬く間に深まるだろうと指摘し、リンドン・ジョンソン大統領の辞退で混乱に陥った1968年よりも、最終的な候補者は政治的に傷つけられて出てくるかもしれないと予想。ただし、ハリス副大統領を自動的に候補者とすることにも危険が伴うとした。

その上で、バイデン氏が撤退を決意した際には、党大会までに出馬を検討する候補者らによる一連の討論会を開催するよう提案。「その後、党大会はこれらの候補者に解放される。決定権を持つのは予備選挙の投票者ではなく、党大会の代議員たちだが、プロセスの透明性が保たれる」と、後任候補を選ぶ道のりを示した。