ニューヨークタイムズが6日に掲載した記事の見出しに、多くの批判がよせられている。
記事は、週末に起きた2件の銃乱射事件に関する大統領のスピーチに関するもので、見出しは「TRUMP URGES UNITY VS. RACISM(トランプは人種差別に対抗して結束を訴えた)」となっていた。
この見出しに対し、民主党議員を中心に、スピーチの内容を反映していないと批判の声があがった。
カーステン・ギリブランド上院議員「こんなこと言っていない」
アレキサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員「主流メディアの弱気によって、いかに白人至上主義が助長されるのか、この表紙をリマインダーにしましょう。」
ベトー・オルーク元下院議員「信じられない」
コーリー・ブッカー上院議員「命は文字どおりあなたがたの頑張りにかかっている。お願いします」
記者からも批判「NYTに書いています。これはひどい見出しだ。」
読者からは契約解除の声も:「今日がNYタイムズの購読を停止する日かしら。」
批判を受け、第2版では見出しが変更された:「銃ではなく、ヘイトを非難」
スピーチについて、他のメディアの評価も大きく分かれた。
New York Daily News 「空っぽな言葉」
New York Post「小さな一歩」
背景
トランプ大統領は5日に行った約10分間のスピーチで「われわれの国家は、人種差別と偏見、白人至上主義を声を一つにして非難しなければならない。邪悪なイデオロギーは倒されなければならない。アメリカにヘイトの場所はない」と語った。一方で「精神障がいが引き金を引くのだ。銃ではない」と述べるなど、民主党からの銃規制強化の声をけん制したほか、インターネットや暴力的なビデオゲームに原因を求める発言もみられた。
スピーチについて、民主党議員の一部は、事件の原因に十分言及していないとするほか、大統領自らが人種間の緊張をあおっているのだと非難していた。
エリザベス・ウォーレン上院議員:「白人至上主義は精神障がいではない。これを国内テロと呼ばなければならない。われわれはトランプがこれら致命的なイデオロギーを増幅していると非難しなければならない」
ジュリアン・カストロ元住宅都市開発長官:「人種差別と偏見、白人至上主義を非難しなければならないというが、彼が時にスポークスマンの役割をになっている」
トランプ大統領の影響は?
犯行の直前、犯人によるものとみられる犯行声明がオンラインに投稿された。
声明には、人種差別や白人至上主義者と関係する内容が含まれ、「ヒスパニックの侵略への対応」「文化的、民族的置き換えから国家を守る」など、犯行理由が述べられている。文中、自身の考えは、トランプ大統領の就任以前からあったと述べるなど、トランプ大統領のレトリックに触発されたものではないとしている。
一方で、「侵略」や「彼らを送り返す」「フェイクニュース」といった用語が、大統領のレトリックと類似していることが指摘されている。