トランプ前大統領との提携話が物別れに終わったと報じられていたパーラー。決別の原因は、トランプ氏側が提示したある条件にあったという。
パーラーは2018年にスタートしたツイッターに類似したSNSサービス。昨年、大手SNSが誤情報の取り締まりを強化する一方、保守派のインフルエンサーたちの支持を獲得し、会員数を大幅に伸ばした。トランプ氏のドナーとして知られるレベッカ・マーサー氏が、共同創設者に名を連ねている。
今年2月、バズフィードはトランプ・オーガニゼーションとパーラーの間で、同社がパーラーの40%のステークを得ることを条件に、トランプ氏がパーラーを主たるSNSとして利用するという契約が話し合われていたと報じた。
協議は、昨年夏、トランプ陣営のメンバーとパーラーの間で始まり、トランプ氏が11月の選挙で敗退した後に、トランプ・オーガニゼーションとの間で再び浮上したが、物別れに終わったという。トランプ氏が交渉にどの程度関与したかは不明だとしている。
パーラーが飲めなかった条件
ホワイトハウスの内膜を描いた2018年の著書「炎と怒り」が話題になったマイケル・ウォルフ氏は、7月に発売する新著「Landslide」で、協議が成立しなかった理由に触れている。
The Vergeが紹介した内容によると、トランプ側の代表者たちは、大統領の退任後に、トランプ氏がパーラーの会員となり、ツイッターからソシャールメディアの活動の多くを移行することを提案。この代わりに、トランプ氏がパーラーの粗利の40%を受け取り、さらにトランプ氏に対して批判的なアカウントを禁止する条件を示したという。
ウォルフ氏によると、パーラーは、後者の条件を飲むことをためらったという。
フリースピーチを謳い文句に、大手SNSよりも緩やかなコンテンツモデレーションでユーザーを獲得してきたパーラーにとっては、条件が飲めないのは当然だったかもしれない。
なおパーラーとの提携話の存在が報じられた後、トランプ氏はテレビ番組のインタビューで「彼らは実際、私を欲しいと思っていた」と述べつつ、自分のフォロワーの規模はパーラーのユーザーの何倍にも上るため、パーラーが扱うには「メカニカル」な問題があるなどと話していた。
ツイッターやフェイスブックから引き続きアカウント停止措置を受けているトランプ氏は、5月に満を持して独自のプラットフォーム、「From the Desk of Donald J. Trump」を開設したが、一月と経たずに閉鎖してしまった。一部では、思うようにエンゲージメントが伸びなかったことが理由と報じられている。
プラットフォームは、投稿できるのはトランプ氏のみで、他のユーザーがコメントする機能さえなかったことから、開設直後からただのブログではないかと揶揄されていた。