トランプ政権時代にツイッターの代替アプリとして登場し、検閲に不満を覚える保守派のユーザーの乗り換え先として話題になったSNS「Parler(パーラー)」が閉鎖された。
閉鎖は、デジタルメディアのコングロマリット、スターボードによる買収に伴うもので、同社は「戦略的評価」を行う間の一時的な措置だとしている。
スターボード(旧オリンピック・メディア)は買収が完了したことを明らかにした14日の声明で、「保守派版ツイッターという位置づけではもうビジネスとして成功しないことは、良識のある人なら誰もが信ずるところだ」と説明。買収を「国内政治を超えて、さまざまなセクターで、疎外された、または検閲されたコミュニティに貢献し続ける大きなチャンスと捉えている」と発表した。
買収条件は明らかにしていないが、同社は、2023年第二四半期の末までに買収による収益増加を見込むとしている。
バージニア州アーリントンが拠点のスターボードは、ライアン・コインCEOが2018年に創業。デジタル広告、資金調達、出版、消費者ブランドに焦点を当てたデジタルメディアコングロマリットだとしており、American WireやBizPac Reviewといった保守派のユーザーに向けたプラットフォームを展開している。
過去数年、ツイッターやFacebookなど大手プラットフォームの規制強化を背景に、フリースピーチを謳い保守派のユーザーの取り込みを狙った新たなSNSが誕生している。この中には、Parlerのほか、トランプ前大統領が設立した「Truth Social」、トランプ陣営の元上級顧問、ジェイソン・ミラー氏が立ち上げた「Gettr」などがある。
Parlerについては、2020年にトランプオーガニゼーションとの間で提携を目指した協議があった。BuzzFeedは当時、トランプ氏が40%の株式を保有し、代わりに主たるSNSとして利用するといった条件が話し合われたと伝えている。
昨年10月、Parlerを運営するパーラメント・テクノロジーズは、ラッパーのカニエ・ウエスト(Ye)に売却することで大筋合意に至ったと発表した。しかしその翌月には、売却を撤回することで相互が合意したと明らかにした。
この一方、「言論の自由の絶対主義者」を自認するイーロン・マスク氏は、10月のツイッターの買収完了後、幹部の入れ替え、職員の大量解雇、認証バッジの有料化といった改革を実施。同時に、旧経営体制の下で凍結された著名なアカウントの制限解除に踏み切った。
復活した中には、議事堂襲撃事件後に永久凍結されたトランプ前大統領のアカウントをはじめ、トランプ派の代表的な議員として知られるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員、元キックボクサーで、女性蔑視的な発言がたびたび物議をかもしてきたアンドリュー・テイト氏、右派の風刺メディア、バビロン・ビーのアカウントなどがある。