飛行中の機内で、乗客が客室乗務員の頭部を殴打する事件が起きた。
事件があったのは21日、メキシコのサンホセデルカボにあるロスカボス国際空港から、ロサンゼルス国際空港に向かうアメリカン航空の機内。
カリフォルニア中央地区連邦検察局の発表によると、男は離陸から約20分後、食事と飲み物が提供される間、座席を立ち、1人の客室乗務員の肩をつかみ、コーヒーを要求した。男はその後前進し、ファーストクラス席付近をうろついた後、ファーストクラスとメインキャビンを隔てる壁の付近に空席を見つけ、着席した。
客室乗務員から自分の座席に戻るよう指示を受けるが、男は拒否。立ち上がり、拳を作って、戦うようなそぶりを示した。
客室乗務員が機長に報告するため、その場を離れようとしたところ、背後から追いかけて、暴行を加えた。
▼乗客が撮影した映像。客室乗務員が「私を脅そうとしているのか?」と尋ねた後、オレンジ色のシャツを着た男が、腕を振りかざして、後頭部を殴る様子が撮影されている。
男は後方に戻ったが、複数人の乗客に拘束され、非常口付近の席に縛り付けられたという。安全上の懸念から、手と足には手錠がかけられ、シートベルトで体を固定された。
動画を撮影した乗客は、地元テレビ局KTLAの取材に、男は暴行を振るう前、客室乗務員からファーストクラスの乗客でないことを理由に、前方にあるトイレの使用を拒否されていたと明かした。また別の乗客はABC7シカゴに対し、「機内に10人の殺人者がいる」などとつぶやいていたと話した。
ロサンゼルス空港に到着後、警察は男を拘束した。逮捕されたのは、カリフォルニア州ウェストミンスター在住のアレクサンダー・タン・クー・レ(33)で、客室乗務員を妨害した罪で起訴された。
客室乗務員の妨害は、連邦法の重罪にあたり、有罪判決を受けた場合、最高で20年の禁固刑が科される可能性があるという。
アメリカン航空は声明で、スタッフに対する暴力行為は容認しないとして、レ被告の今後の搭乗を禁止すると発表した。