2016年大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策部長だったポール・マナフォート氏は14日、ワシントンD.C.の連邦地裁に出廷し、検察の司法取引に応じ、有罪を認めた。
ロシアの米大統領選介入疑惑の捜査を進めるロバート・モラー特別検察官は、昨年10月にマナフォート氏を起訴。先月のバージニア州連邦地裁で開かれた裁判では、8件の訴因について有罪評決が下った。ワシントンD.C.連邦地裁では、今月24日から裁判が予定されていた。
検察と弁護側が交わした書面によると、検察はマナフォート氏の罪状をマネーロンダリング、脱税、外国代理人登録法違反を含む米国に対する謀議と、保釈期間に目撃者に働きかけ司法妨害を謀議した罪の2つの訴因にまとめたほか、検察の要求に応じて、ミーティングの参加や資料の提出、証言を行うなど、「全面的、誠実、完全かつただちに」協力することを要求。捜査協力または服役の完了後には、バージニアを含む、残りの訴因について起訴を取り下げるとした。また、マナフォート氏の所有するマンハッタンなどにある複数の不動産や口座などの財産を没収することが明記された。
マナフォート氏が司法取引に応じた理由について、弁護人のケヴィン・ダウニング(Kevin Downing)氏は「彼は家族が安全に、よい生活を送ることを確かなものとしたかった。」と述べたほか、「不正な行為は昔の出来事であることを、心に留めておいてほしい。」と語った。
検察はこれまで、元施設秘書のマイケルコーエン氏やマイケル・フリン前大統領補佐官、マナフォート氏の部下であったリックゲイツ、元外交顧問ジョージパパドポロス氏など、複数のトランプ陣営の元スタッフの捜査協力に成功している。
選挙期間中、マナフォート氏はロシア新興財閥のオレグ・デリパスカ氏やコンスタンティン・キリムニック(Konstantin Kilimnik)と緊密に連絡を取っていたほか、2016年6月、トランプ氏の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏とともに、トランプタワーで行われたロシア人弁護士らとの会談に同席している。会談はヒラリー・クリントン氏に不利な情報を得る目的で開催したとされており、マナフォート氏の協力により、会談内容など、ロシアとの共謀を示す具体的な情報が得られる可能性がある。