ロイド・オースティン国防長官が入院の事実を適切に開示しなかったとされる問題で、マイク・ペンス前副大統領は「職務怠慢」と批判し、国民に事実を説明をするべきだと語った。
国防総省の報道官が入院を公にしたのは5日。オースティン氏は「選択的手術」に伴う「合併症」により1月1日から入院していると述べ、同日中に職務に完全復帰する予定であるとした。この間の代役として、キャスリーン・ヒックス国防副長官が「代理を務める用意ができていた」と明らかにした。
この発表後、政府高官やバイデン大統領さえ1月4日までオースティン氏の入院を知らされなかったことが複数の報道機関によって明らかになった。議会に知らされたのは、5日の発表のわずか15分前だったとも伝えられている。
ペンス氏は、オースティン氏の完全な回復を願うとする一方で、「この対応はまったく容認できない。アメリカ国民には、彼の状態や入院の理由を知る権利があり、(職務遂行の)不能を誰が知らされたのかについても知る権利がある」と主張。ウクライナやイスラエルが戦争状態にある中で、数日間にわたり大統領に知らせなかったのは「職務怠慢である」と非難した。
国防総省の7日の発表では、オースティン氏は順調に回復し職務に復帰しているが、いまだにウォルター・リード米軍医療センターで入院を続けている。
病状については明らかにされていない。ニューヨークタイムズによると、オースティン氏が手術を受けたのは、5日間の中東訪問を終えて米国に帰還した2日後の12月22日だった。その翌日に自宅に戻ったが、1月1日に「激しい痛み」を訴え、ウォルター・リード病院に運ばれ、集中治療室に入れられたという。
CNNは当局者の話として、ヒックス国防副長官は2日にオースティン氏の職責の一部を引き継いだが、入院の事実を知らされたのは4日のことだったと伝えている。なおヒックス氏は休暇のためプエルトリコに滞在していた。
上院軍事委員会のメンバー、トム・コットン議員(共和党 アーカンソー)も懸念を表明した。国防長官は、数分以内に最重要の決定が下されなければならない核発射の指揮連鎖を含む、「大統領と制服組の間の指揮系統における重要なリンク」と指摘。一連の報道が真実であれば「この驚くべき事態に対して、厳正な結果が求められる」と責任を追求する姿勢を示した。
オースティン氏自身は、6日に発表した声明で、「国民が適切に知らされるよう、もっと良い仕事ができたと認識している。今後、改善に務めることを誓う」と反省の念を示した上で、「これは私の医療処置であり、開示にかかわる決定は私が全責任を負う」と述べている。