バイデン次期大統領は15日、運輸長官に元インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg)氏(38)を指名した。
同氏は、民主党の大統領予備選の候補者の中で、閣僚に指名された初めての人物。ニューヨークタイムズによると、上院で承認され、運輸長官に就任した場合、米国初のLGBTQの閣僚となる。
バイデン氏は声明で「運輸省はより良い再建のための、最も野心的な計画拠点となる。ピート市長は、集中と良識、大胆なビジョンを持ってこの仕事を率いてくれるだろう」と期待を語った。
ブティジェッジ氏もツイートで「雇用を創出し、気候変動への取り組みへの対処、すべての人々への公平性を高めるという、大きなチャンスの瞬間だ」と述べ、「現代的でサステナブルなインフラストラクチャーを通じ、より良い再建を行う時だ。これにより、何百万の高給な仕事を創造し、値域社会を活性化させ、米国人に繁栄をもたらすことができる」と意気込みを語った。
タイムズは、運輸省が、気候変動への政府の積極的な取り組みの重要な役割を担う可能性があると指摘。さらに、バイデン氏が優先事項に掲げるインフラ分野で、市長時代の経験を生かすことができると報じている。
サウスベンド生まれのブティジェッジ氏は、ハーバード大学と英オックスフォード大学で学位を取得している。オックスフォード大学では、エリート学生に与えられるローズ奨学金を得ており、フランス語やスペイン語、イタリア語など8カ国語が堪能だという。卒業後、マッキンゼーに就職した。
2012年、29歳の時、人口10万人のサウスベンド市で、史上最年少の市長となった。就任後、交通量を削減し、自転車専用道路を設け、歩行者に配慮した「スマート・ストリート」政策を実施するなどサウスベンドのダウンタウン改革を実施し、人口を増加させた。
在職中の2014年にアフガニスタンで海軍に従軍。2015年に地元紙サウスベンドトリビューンの論説で、同性愛者であることを公表した。2019年に教師のチェイスン・グリーズマン(Chasten Glezman)氏と結婚した。
昨年1月に民主党の大統領予備選に出馬を表明。予備選の行方を占うアイオワ州で実施した世論調査では、ブティジェッジ氏が支持率トップを獲得し、注目を集めた。
民主党候補者による討論会では、サンダース氏を「この党を焼きつくしたい候補者」「サンダース氏を選んだ場合、トランプ政権が4年続く上に、上下両院を失うことにつながる」と厳しく批判。中道派の姿勢をアピールした。
スーパーチューズデー直前の2月末に、大統領選からの撤退を表明。エイミー・クロブシャー上院議員や、ベト・オルーク前下院議員ともにバイデン氏の支持に回り、指名候補者争いの終盤を盛り上げた。
なお保守系メディアのFoxニュースは、ブティジェッジ氏が運輸長官に指名された後、2019年のサウスベンドトリビューンの記事を引用し、サウスベンドの道路は「州で最悪のポットホール(へこみ)」という問題を抱えており、へこみで生じた損傷の修理を待つ車で溢れていると報じている。