ニューヨーク市ブルックリンの老舗ステーキハウス「ピータールーガー」(Peter Luger)は、ニューヨークのベストステーキ店と称され、観光客にも人気が高い。
しかしニューヨークタイムズの料理評論家、ピート・ウェルズ(Pete Wells)氏は29日、同レストランに厳しい評価を下し、2つ星(very good)からゼロ(poor)へと格下げした。
1990年代から同店に足を運んでいるというウェルズ氏は、「勘定を済ませた後、騙し取られたという、揺るぎない感覚が残る」と冒頭で述べた。
同氏は「食事の後には財布が空になる」ほどの高価な店だが、「快活な気分にさせてくれるため、公正な取引」だと思っていた、とかつての感想を述べた。しかし、いつからか同店に対する疑念は、年々深まっていったという。
低評価の理由として、予約の有無に関わらず長い待ち時間や、バーでの不便な注文方法、(キッチンがオープンしているにも関わらず)ランチのラストオーダーが2時半まであること、ハンバーガーの焼き加減が安定していない、肉の品質など様々な点を指摘。
料理については、「フライのポテトはパサパサとして風味がない。切りたてを使えばこうはならないだろう」、魚料理は「焼きすぎでパサパサ、ほぼ粉末になりかけ」、ステーキは「ありきたりであり、ニューヨークのベストというには程遠い」と酷評。さらに、サービスは「退屈で、淡々としていてよそよそしく、人間味にかける」と述べ、ワインリストは「年月とともに魅力が減る」と述べた。
「ピータールーガーの支持者たちは、ワインやサービス、サラダ、魚を求めて同店に行くのではないと言うだろう。しかし、一体誰がこのレストランに行く必要があるのだろうか?」と疑問を呈し、突き詰めれば「誰でもない」と括った。
ウェルズ氏の辛口コメントに共感する人も多いようだ。タイムズのコメント欄には、団体でレストランに行き、散々お金を使ったのに食事後バーに移動してくれと言われた人や、なぜそんなにもてはやされているのか分からない、というコメントなどが寄せられている。
前回タイムズにピータールーガーのレビューが掲載されたのは、12年前の2007年で、2つ星を獲得していた。132年の歴史を誇る同店は、ミシュランガイド(Michelin guide)やザガット(Zagat)の常連店として知られる。ミシュランでは1つ星を、ザガットでは市内のトップ10ステーキハウスにランクインしている。
最近ではオンラインでの予約受付を開始し、デビットカードでの支払いが可能となった。来年には海外1号店となる東京でのオープンを予定している。