石破氏は「一筋縄では行かない」リーダー、米メディア

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自民党総裁選で総裁に選ばれた石破茂氏について、米ニュースサイトポリティコのマシュー・カミンスキー編集長は、「米国の太平洋における最も重要な関係において、困難なパートナー」になる可能性があると紹介した。

石破氏はイデオロギーとして、高市氏と小泉氏の中間にある「無愛想なゴルディロックス(物語「3匹のくま」の主人公)」と喩えつつ、「一緒に仕事をするのが一筋縄ではいかない可能性のある日本のリーダー」と説明。「エリート層の外側の出身」「熱心なプロテスタント教徒」「オタクで軍用機模型の収集を好む」と私的な部分に触れながら、「政策の細部にこだわり、周囲の専門家に挑戦することを恐れない」と評した。

米国との軍事関係に対する石破氏のアプローチは「米国にとって問題になる可能性がある」「主要候補者の中で米国人にとって最も理解しにくい」といった日本研究者の言葉を紹介しつつ、地位協定の改定や第9条改憲といった「禁じ手」に挑んでいると説明。日米同盟の”非対称”な関係を変えなければならないとする石破氏が提唱する在米自衛隊、アジア版NATO創設にも言及した。さらに日本の政府関係者の話として、石破氏の「動機」の60%は「抑止力の強化と同盟の強化」であるが、残りの40%は「日本の主権を取り戻すこと」にあり、それがワシントンを不安にする要素だとした。

軍事面に加えて両国関係を試すテーマは、トランプ政権とバイデン政権で進んだ米国の保護主義政策と対中技術移転制限が日本の製造業にもたらす高コストにもあると指摘。「一見穏やかな指導者の交代は、最近特に穏やかだった日米関係に波風を立てる可能性がある」と締めくくった。

カミンスキー氏はまた、自身の記事をXでシェアする際、「日本の新リーダーはオタクで厄介者。ワシントンは前指導者を恋しく思うかもしれない」とコメントを加えた。

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ワシントンポスト紙は、石破氏の著書『保守政治家 わが政策、わが天命』に触れ、「日本はまだ真の独立国とは言えない」と述べる石破氏はその理由に日米安保条約の「非対称性」を挙げているとした上で、「彼の遠慮のないアセスメントは前任者の岸田氏とは一線を画している」と指摘。さらに、岸田氏による「今日のウクライナは明日の台湾」発言を感情に駆られたものとして警鐘を鳴らす石破氏は「北京を非難するのではなく、中国とのより深い関与と外交を呼びかけている」と記した。著書では、日本をとりまく安全保障環境が厳しさを増しているからこそ、ロシアや中国との外交関係を絶やさない努力が重要であることを強調すべきであると論じている。

石破氏はアナリストの間で外交政策と防衛問題の専門性において評価を受けていると示唆する一方、アジア版NATO構想については「首都ワシントンで観察する多くの者が懐疑的な見方をしている」と加えた。