兄ウィリアム皇太子から暴力を受けたことや、10代での薬物使用、歳上女性との初体験、アフガニスタンで25人の敵を殺害したと告白するなど、発売前から一大センセーションを巻き起こしているヘンリー王子の回顧録「スペア」(Spare)だが、超ベストセラーになるのは、間違いないようだ。
全世界での発売は10日を予定しているが、米書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル」のWebサイトでは既にNo.1となっている。アマゾンでも米英両国でベストセラー入りしている。英国最大のチェーン店「ウォーターストーンズ」でも、このままいけば、今年のベストセラーの1冊になる可能性があるという。
ブルームバーグは、「スペア」が、元ファーストレディの回顧録「ミシェル・オバマ並みのスマッシュベストセラー」になると伝えている。2018年に発売されたミシェル氏の「マイ・ストーリー」(Becoming)は50言語に翻訳され、全世界で1,700万部を売り上げた。バーンズ&ノーブルの書店部門のトップ、シャノン・デビト氏は同サイトに、「今年最大の本の一つになるのは、疑う余地がない」と自信をのぞかせた。
ニューヨークタイムズは、「スペア」の発売元、ペンギンランダムハウスは、北米だけで初版250万部を印刷したと報じている。大手小売店のターゲットやウォルマートなどの大手小売チェーン店に書籍を卸しているリーダーリンク社は30万部を注文、バーンズ&ノーブルも数十万部をオーダーしたという。
書籍のコピーを入手した英紙ガーディアンが、ウィリアム皇太子がメーガン妃を巡り、ヘンリー王子を床に押し倒したエピソードを報じた後、英国での予約は急上昇したという。
スペインの書店では、5日にフライングで販売を開始するハプニングも起きた。欧州のメディアは、スペイン語で書かれた書籍を入手しており、既に大半がリークされているとも報じられている。
タイムズは、出版業界の関係者の話をもとに、報道を促進し、読者の関心を高めるためには、リークは有益だとしながらも、ニュースサイクルが終了すると、売上は急降下する可能性があると指摘した。
それにも関わらず、スペアに関しては、売上に影響を及ばさないほどの勢いがあるという。バーンズ&ノーブルのCEOジェームズ・ダント氏は同紙に、否定的なリークでさえも、書籍への関心を高めているとし、初日と初週の売上は「最高に素晴らしいものになるだろう」と期待を示した。スペアは「人々の会話の一部となり続け」、「一時的な成功に終わるものではないだろう」と語っている。