フィリップ殿下は生前、メーガン妃に「DoW」というニックネームをつけていたという。
英紙テレグラフが、マジェスティ・マガジンのイングリッド・スワード編集長の新著「My Mother and I」で主張されている内容として伝えた。
DoWは、エドワード8世が王位を捨てて結婚した米国人、ウォリス・シンプソン夫人の称号「ウィンザー公爵夫人(Duchess of Windsor)」の略。フィリップ殿下は、ヘンリー王子とメーガン妃の交際を支持していた故エリザベス女王に注意を払うよう警告し、メーガンがウィンザー公爵夫人を「不気味」なほど想起させると告げたことがあったという。
イギリスの社交会に出入りしていたシンプソン夫人と恋に落ちたエドワード王子は、1936年に王位を継承したが、2度の離婚歴のある米国人女性との結婚をめぐって政府やイギリス国教会、国内支配層からの強い反対に会う。女王への就任、または単なる配偶者として迎えることも不可能であることを悟ると、在位わずか325日で王位を放棄して、結婚する道を選んだ。
新国王となった弟のジョージ6世は、兄をウィンザー公爵と宣言した。ガーディアンによれば、ウィンザー公爵は「殿下」の敬称を許可されたが、ウィンザー公爵夫人、つまりシンプソン夫人は許されなかった。フランスに移った二人に、国王は、俸給を与える代わりに許可なく英国の地を踏まないという厳しい条件を課した。
スキャンダルは収まらず、夫婦は結婚後まもなくドイツを非公式に訪問して、ヒトラーらナチス指導部と面会するなど、王室や政府に恥を与えた。
メーガン妃も米国人で、離婚歴がある。相手はハリウッドの映画プロデューサーで、2011年に結婚した。当時出演が決まったテレビドラマ『SUITS』の撮影地トロントに拠点を移したが、遠距離恋愛が長続きせず、2013年に破局した。
ヘンリー王子とは2016年に出会い、2018年に結婚した。スワード氏によると、エリザベス女王は最初に出会った時からメーガン妃を認め、好意を抱いたばかりでなく、英国の若者のためにヘンリー王子とともに何が達成できるか、期待していたという。
ただし、そうした期待は長続きしなかった。
スワード氏によると、女王は、メーガン妃のウェディングドレスを、離婚経験者にしては「白すぎる」と述べたことがあったほか、式での米国人牧師による長いスピーチも快く思っていなかった。結婚前後のヘンリー王子の独善的な姿勢にも落胆を覚えていたという。
女王のいとこにあたる故レディ・エリザベス・アンソンは、ヘンリー王子の公務を退く決断について、女王は決して理解することはないと語ったという。
さらに2021年3月に放送され王室批判につながったオプラ・ウィンフリーとのインタビューについては、70年に渡って守り続けてきた王室制度に対するヘンリー王子の物言いを、女王は許すことができず、その時点で、妻以外の誰のことも気にすることのない孫を心配するのは無駄だと判断したという。
スワード氏によると、フィリップ殿下がメーガン妃をウィンザー公爵夫人と呼んだのは、二人が単に米国人で、離婚歴のある黒髪の女性といった事実だけを指したものではなかったという。殿下の目には何が映っていたのだろうか。