ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから1週間が経過した。欧米各国によるロシア金融機関や新興財閥に対する資産凍結など、経済制裁が連日報じられる中、謎とされているプーチン大統領の資産にも注目が集まっている。
フォーチュン誌によると、クレムリンの公式資料では、プーチン大統領の年収は14万ドル、3台の車とトレーラーを一台、74平方メートルのアパートを所有しており、このほか、モスクワにある150平方メートルのアパートを使用しているとされている。しかし、一部の専門家は、プーチン氏こそが世界一の富豪であり、資産総額は2,000億ドル(23兆円)にのぼる可能性があるとも指摘している。
裕福ぶりは腕時計にも表れている。同誌によると、パテック・フィリップのパーペチュアルカレンダー時計(6万ドル)を身につけている姿が確認されているほか、A.ランゲ&ゾーネのトゥールボグラフ(50万ドル)など、超ハイエンドな時計を所有しているとみられている。
黒海を見下ろす崖の上に、14億ドルのマンションを所有しているとの噂もある。広さは1.7キロ平方メートル9万で、個人宅としては国内最大級だという。屋内はフレスコ画の描かれた天井、ギリシャ神の彫刻で飾られた大理石プール、ゲストハウス、スパ、ミュージックパーラー、劇場、ハイスホッケーのリンク、カジノ、ナイトクラブなどがあるという。内装はイタリアの高級ブランド、Citterio Atenaが手がけ、ルイ14世様式のソファー、50万ドル相当のダイニング家具、54万ドルのバーテーブルなど、贅沢のかぎりが尽くされている。建築資金は、医療機器を市場価格よりはるかに高いレートで購入した「ヘルス」と呼ばれる130億ドル規模の国家プロジェクトから捻出され、イタリア人建築家のLanfranco Cirilloの口座へ支払われた。巨大な物件を維持するため、スタッフの人件費(40人)だけで年間200万ドルが費やされている。
なお、クレムリンは、物件はプーチンではなく裕福な実業家が所有していると主張しているが、ロシアのアナリストは、上空が飛行禁止区域に指定され、ロシア連邦保安庁が防護していることから、虚偽だと反論している。
このほかにも、19物件、車700台、飛行機とヘリコプター合わせて58台を所有しているとみられており、この中には「空飛ぶクレムリン」の異名をとる7億1,600万ドル相当のジェット機も含まれる。さらに原子力潜水艦メーカーが造った1億ドルのメガヨットも所有しているという。
先述の2,000億ドルという数字は、米投資家のビル・ブロウダー氏が2017年の上院司法委員会で証言したもで、同氏は、プーチンの富の多くは、オリガルヒのミハイル・ホドルコフスキーが脱税で投獄された後に蓄えられたものだと主張している。ホドルコフスキーが有罪となった後、他のオリガルヒらはプーチンに投獄を避けるためにどうしたら良いか助言を仰いだといい、これに対してプーチンの答えは50%だったが、どうやら「ウラジミールプーチン個人に対して”50%”」だったようだと、同氏は話している。
これらに加えて、パナマ文書からは、プーチンがオフショア口座にある数十億ドルの資産に関与している可能性も示されている。