ロシアのプーチン大統領は、カザフスタンで開かれた上海協力機構サミット後の記者会見で、先週のバイデン氏対トランプ氏の討論会を「断片的」に視聴したと語った。
ロシアの国営メディアRTによると、プーチン氏は「仕事がたくさんあり、何が起きているのかきちんとフォローしていないが、特にメディアから出てくるコメントは」と述べ、「誰を応援して、誰に反対するのか、彼らはいつも一定の好みをもっている」と加えた。
バイデン氏にとって「惨事」となった討論会が、自身の意見に影響を及ぼしたかと聞かれると、「何も変わってない」と説明。「何が起きるかみんなわかっていたのではないか」と語った。
「実際には彼らの内部のビジネスだ」とする一方、米国が経済、軍事、安全保障分野の超大国でありつづける限り「これを無視することは不可能」とも主張した。
トランプ氏がロシアとウクライナを停戦させる用意があると主張している件について「かなり真剣」に受け止めているとしつつも、「提案についてはよく知らない。もちろんそれが重要な問題だ。しかしながら、彼が誠実に発言していることを疑っていないし、それを支持している」と語った。
なお、プーチン氏は今年2月、国営放送のインタビューで、次期米国大統領は、「予想可能で昔気質の政治家」のバイデン氏が望ましいと語っていた。
バイデン氏とトランプ氏は討論会で、ウクライナ戦争をめぐって非難の応酬を繰り広げ、プーチン氏の名前も幾度となく飛び出した。
トランプ氏は「もしリアルな大統領がいたなら、プーチン氏に尊敬されているとわかっている大統領がいたなら、彼は決してウクライナに侵攻しなかっただろう」と、自画自賛を交えつつ、「彼は戦争を止められないどころか、推奨さえしていると思う」とバイデン氏を批判。アフガン撤退の失態に触れ、「それを見てわれわれは行けると思う、とプーチンは言ったんだ。これ(ウクライナ侵攻)は彼の夢だったんだ。彼とそれについて話したことがある。つまり、彼は決してウクライナを侵略などしなかった….彼(バイデン氏)の下で世界がひっくり返っている」と非難を続けた。
プーチン氏との「夢」の会話の真相は不明だが、これに対してバイデン氏は「ウクライナにはやりたいようにすればよいと告げたのがこの男だ」と反撃。トランプ氏こそがプーチン氏をやる気にさせたと言い返した。
ロシア側が示している停戦条件について聞かれると、トランプ氏は、受け入れられないとしつつ、「私なら1月20日に大統領に就任する前に、次期大統領としてゼレンスキー氏とプーチン氏の間で解決させる」と自信を示した。
トランプ氏はこれまで、大統領に返り咲いた暁には「24時間以内」に戦争を終わらせると主張しているが、具体的なプランを提示していない。
討論会の数日前、トランプ政権下の国家安全保障会議で首席補佐官を務めたキース・ケロッグ退役中将とフレッド・フレイツ氏が和平プランを提出し、トランプ氏が「好意的な反応を示した」と報じられたが、トランプ陣営の報道官は公式発表ではないとして、取り扱いについて明らかにしなかった。
二人の計画は、ウクライナが和平交渉に臨む場合にのみ米国から兵器提供を受けられるとすると同時に、ロシア側に交渉を拒否すれば米国のウクライナ支援を強化すると警告するという趣旨で、和平交渉時の戦線に基づいて停戦させるという内容だと伝えられている。