米政府が新たに制裁対象に指定したことから、これまであまり知られてこなかったプーチン大統領の二人の娘に注目が集まっている。
米財務省は6日、ロシアによるウクライナ人に対する残虐行為への報復として、制裁対象の範囲を拡大すると発表。ロシア最大の官民両方の銀行に「完全な制裁」を課すと同時に、プーチン大統領の娘であるマリア・ヴォロンツォワ氏(Maria Vorontsova)(36)とカテリーナ・ティホノワ氏(Katerina Tikhonova)(35)、ラブロフ外相なども新たに制裁対象にするとした。
プーチン大統領の私生活はベールに包まれており、家族について「安全上の懸念」を理由に、意図的に世間の目から遠ざけてたことを自ら認めている。The Hillによると、プーチン氏は2015年の年次記者会見で、二人の娘はともにロシアの学校で学び、数カ国語が堪能あると明かす一方で、「私の家族については、誰とも議論をしたことがない」と話している。
2013年に離婚した元妻リュドミラ・シュクレブネワ(Lyudmila Ocheretnaya)氏は、1970年代にプーチン氏と交際を始めた頃、ロシア最大の航空会社アエロフロートでスチュワーデスをしていた。約4年間の交際期間を経て、1983年に結婚し、マリアとカテリーナの二人の娘をもうけた。
マリア・ヴォロンツォワ
The Hillによると、マリア・ヴォロンツォワ氏は、1985年にサンクトペテルブルクに生まれた。サンクトペテルブルク大学で生物学を学んだ後、モスクワ州立大学の基礎医学部を卒業した。NPRは、マリアは小児内分泌学と院殿学の研究者で、モスクワの内分泌リサーチセンターに所属していると伝えている。財務省によると、現在、政府支援の下で運営されている遺伝子研究のプログラムを率いている。研究プログラムは、プーチンが「個人的に監督」しており、政府が数十億ドルを拠出しているとみられている。
2019年にロシアのテレビ局の番組に出演し、子供の肥満や糖尿病について話す映像が残されている。
オランダ人実業家で、以前ロシアのエネルギー関連企業「ガスプロム」で働いていたとされるヨリト・ヨースト・ファーセン氏と結婚したが、現在はすでに離婚しているとも伝えられている。このほか、BBC Russiaはマリア氏について「ロシアのヘルスケア分野における、最大の民間投資プロジェクトの実施に関与している企業の共同所有者」と報じている。
カテリーナ・ティホノワ
次女カテリーナ・ティホノワ氏は、1986年、当時プーチン氏が配属されていたドイツのドレスデンで生まれた。名字は祖母からとられたものだという。
ロイター通信によると、プーチン氏は2011年、ロシアのテレビ局に対し、次女はサンクトペテルブルク大学で東洋学を専攻し、特に日本語と日本史を専門に学んだと明かしている。
プーチン氏の長年の友人、ニコライ・シャマロフ氏の息子キリル氏と2013年に結婚した(2018年に離婚)。2015年のロイター通信の調査報道によると、夫婦は20億ドル相当の企業の株式を保有しており、これらの大半は、プーチン氏と親しいゲンナジー・ティムチェンコ氏からキリル氏が獲得した大手ガスおよび石油関連企業の株式だとされている。
夫婦はフランスのリゾート地ビラリッツに、推定価値370万ドル(約4億6千万円)とされる豪邸を所有しており、これもまたティムチェンコ氏から購入したものだったという。
一部では、ウクライナ侵攻開始後、ティホノワ氏のフランスの物件の正門全体に、ウクライナ国旗がペイントされる事件があったと伝えられている。
モスクワ大学で上級職をつとめているほか、公的資金によるプロジェクトを推進しており、自身が監督する組織が大学で実施する仕事に関して、国営組織と数百万ドル規模の契約を結んでいることが、公文書で明らかになっているという。
優秀なアクロバット・ロックンロール・ダンサーの顔を持っており、2013年にはスイスで開催された国際大会にダンスパートナーと出場し、5位の成績をおさめた。「全ロシア・アクロバット・ロックンロール連合」の組織委員会の委員長を務めているとも伝えられている。
子供はほかにも
2008年に愛人疑惑が浮上した新体操の元五輪金メダリスト、アリーナ・カバエワ氏は、2015年にスイスのルガーノで、プーチン氏の間にできた双子を出産し、その後さらに2人の子供を産んだと報じられている。PageSixは情報筋の話として、4人ともスイス国籍を保持しており、一家でスイスに潜伏している可能性があると伝えている。
このほか、ロシアの調査報道サイト「Proekt」は、1990年代に関係を持ったとされるスベトラナ・クリバノギク氏との間に、10代になる隠し子がいると伝えている。