大量退職時代の到来とも呼ばれる米経済。若者に人気の巨大掲示板サイト「レディット」では、反労働をテーマにしたコミュニティが盛り上がりを見せている。
サイト内に立ち上げられたフォーラム「アンチワーク」では、労働環境や退職などに関する話題が数多く投稿されている。
フォーラムの説明書きには「仕事を辞めたい人、仕事から解放された人生を送りたい人、反労働の考え方に関する情報を得たい人のため」とある。パンデミック中に書き込みが増加し、参加者160万人を超えるコミュニティに発展している。
ニューヨークポスト紙は、退職の際に上司に送ったテキストやメールのスクリーンショットに反響が寄せられる一方で、いかに最低限の労働で給料をもらい続けるかを紹介するユーザーの人気も高いと伝えている。
IP電話関連の企業でクライアントの質問に答える仕事をしているという「podcastquestionsa」は、過去5年間、週1、2回電話に答える以外、何もしなくても年間8万ドル(約900万円)を得ていると紹介。8,000件を超えるコメントが寄せられた。会社にバレずに、仕事をITで自動化しているという「u/Throwaway59724」は、9万ドルの給料を得ていると投稿し、閲覧数8万件、5千件を超えるコメントがついた。
フォーラムの管理者を務めているボストン在住のドリーン・フォードさん(30)は、ニューヨークポスト紙の取材に「みんながコロナ、過労働、住宅ローン、家賃など資本主義に関わる多くのことに限界を感じている」と人気の理由を分析。「仕事を休んで、減らそうと思うことは間違いじゃない」と語った。
フォードさん自身、10年間務めた小売関連の仕事を辞め、2017年からドッグウォーカーとして、週25時間ほど働いて生活をしているという。
アンチワークの背景にある考えについて「資本主義を転覆させて、できるかぎり労働に伴う強制的要素をなくすこと」と説明した。フォーラムで積極的に活動するユーザーには、バーニー・サンダース議員やアレクサンドリア・オカジオ・コルテス議員といった進歩左派のサポーターで、社会主義者や共産主義者、アナーキストを自称する者も多いという。