5月4日より、メトロポリタン美術館(MET,メット)で新たなエキシビジョン“Rei Kawakubo/Comme des Garçons: Art of the In-Between”「川久保玲/コム・デ・ギャルソン:間のアート」 がスタートした。
デザイナーの川久保玲は、1969年に「コム・デ・ギャルソン」レーベルで初のウィメンズウェアを発表。1981年にはパリコレクションでデビュー。その後、ニューヨークではHenri Bendel(ヘンリベンデル)が取り扱いをスタートした。また、1983年にはSoHoでブランドの店舗をオープンしている。
存命のデザイナーを単独でフィーチャーするエキシビジョンが開催されるのは、1983年にイヴ・サン=ローラン(Yves Saint Laurent)の展示会以来となる。エキシビジョンでは、約40年にわたるブランドの歴史の中から、約140着の作品を展示。それぞれ「High/Low」、「Object / Subject」など、対照的な概念をペアにした9つのテーマに分けられ、展示されている。そのうち半数は過去3年以内に発表されたものだという。
「Form/Function」:Spring/summer 2014「Not Making Clothing(服でない服)」他
「Self/Other」:Spring/summer 2014「Not Making Clothing(服でない服)」、Autumn/winter 2012–13「2 Dimensionsg(2ディメンションズ)」他
「High/Low」:Spring/summer 2005「Motorbike Ballerina(パンクバレリーナ)」。モトレザージャケットとチュチュの組みあわわせ。
「Then/Now」:Spring/summer 2012「White Drama(ホワイトドラマ)」、Autumn/winter 2005–6「Broken Bride (ブロークンブライド)」
「Object/Subject」:1977「Dress Meets Body(ドレス・ミーツ・ボディ)」のコレクションより。ダウンをショルダーや腰などに詰めた”こぶ”のドレス。
「Self/Other」:メンズウェアの要素を組み合わせた洋服。2006–7AW「Persona(ペルソナ)」と、2013–14AW「The Infinity of Tailoring(テーラリングの無限大)」のコレクション。
「War/Peace」:Spring/summer 2015のコレクション「Blood and Roses(薔薇と血)」。ローズの花は美しいが、歴史の中では血や戦争のイメージとなることを表したデザイン。
メトロポリタン美術館コスチューム・インスティチュートのキュレーターであるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)氏が、ニューヨークタイムズ主催のトークイベントで語ったところでは、2003年に川久保氏と初めて出会った時から、エキシビジョンの話をしていたが、断られてきたという。
同イベントに同席したコムデギャルソンのCEO エイドリアン・ジョフィー氏によると、「彼女は常にゼロからスタートしようと努めている」「エキシビジョンを実施することは、言って見れば過去を振り返ることを強制されることになるから、それを彼女は心配していたんだ」と展示に否定的だった理由を述べた。しかし、ある時点で、過去を振り返るということがポイントではなく、後の人々が川久保玲の作品を参照できるようにすることだと考えるようになり、企画を進めることになったという。
作品の展示方法やスペース設計においてもデザイナーの意図が強く反映されている。川久保氏は東京郊外に、実際に展示スペースと同じ大きさのモデルを用意。自らの意図する空間と作品の関係を示し、それを元に設計が行われたという。
会場の外には、ブランドとMETのコラボレーション商品などを販売するショップが設置されている。特別展のカタログ(50ドル)は、日本人フォトグラファーの繰上和美氏を含む10名のトップ・フォトグラファーのよる写真や、アーカイブ、川久保氏のこれまでの発言集が掲載されたもので、こちらもファンには必見の内容。販売スタッフによると、ナイキのシューズやトートバッグが特に人気が高いという。
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Rei Kawakubo/Comme des Garçons: Art of the In-Between
公式サイト:www.metmuseum.org
期間:2017年5月4日-9月4日
場所:メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art