俳優ロバート・デ・ニーロは27日にマンハッタンで開催された映画関連の授賞式で、トランプ批判を盛り込んだスピーチ原稿を用意したが、主催者によって削除されていたこととが判明。不満を露わにする場面があった。
この日、デ・ニーロが出席したのは、インディペンデント系作品の授賞式「ゴッサムアワード」。自身が出演したマーティン・スコセッシ監督の作品『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が、ゴッサム・ヒストリカル・アイコンとクリエイター・トリビュート賞を受賞した。
壇上で内容が変更されていることに気づいたデ・ニーロは、「一言伝えておきたい。私のスピーチの冒頭が編集され、カットされていた。それに気がつかなかったので、読み上げます」と携帯電話を取り出し、元の原稿を見ながらスピーチを再開した。
その中で、「歴史はもはや、歴史ではない。真実も真実ではない。事実でさえ、オルタナティブ・ファクトに置き換えられた。陰謀論や醜いものに駆り立てられている」と述べた。
エンターテインメント業界も「ひどい病から免れていない」と述べ、俳優ジョン・ウェインはかつて、ネイティブ・アメリカンから土地を奪ったことは「過ちではなかった。彼らは自分勝手にも、これを自分たちのものにしようとしていた」と発言していたと続けた。
さらに「嘘はペテン師の持ち球の一つ」と述べ、トランプ氏に言及。「在職中、われわれに3万回以上も嘘をついた」と指摘し、「どのような嘘をもっても、彼の魂を隠すことはできない。彼は弱いものを攻撃し、自然の恵みを破壊し、”ポカホンタス”などと差別的な発言で中傷した」と批判を展開した。ここまで読み上げたスピーチが「彼らがすべて編集したものだ」と加えると、会場から、笑いと拍手が湧き起こった。
デ・ニーロは製作元のAppleに謝意を示した後、「ゴッサムなんたらに感謝するつもりはさらさらない。全くなんてことしてくれるんだ」と主催者の対応を咎めつつ、作品への栄誉は受賞しておくとスピーチを締め括った。
デ・ニーロはこれまで、テレビ番組やトニー賞授賞式など公の場でトランプ非難を展開しており、ネットでは賞賛の声と共に、授賞式での政治的な発言は避けるべきだとの意見も投稿されている。