ニューヨークタイムズ紙は21日、ロシアによる米大統領選介入捜査を監督するロッド・ローゼンスタイン(Rod J. Rosenstein)司法副長官が、2017年春頃、司法省職員やFBI職員とのミーティングや会話の中で、トランプ大統領との会話を秘密裏に録音することを示唆したほか、不適任を理由に大統領を引退へと導く憲法修正第25条の発動に言及したとする記事を掲載した。
同日、本人は声明を発表し、報道を否定している。
タイムズ紙は、会話が交わされた時期を、ローゼンスタイン氏が司法副長官に就任してから2週間後の頃で、ジェームズ・コミー前FBI長官の解任により、ホワイトハウスが混乱に陥った時期としている。なお、ローゼンスタイン氏は、2017年5月9日、コミー前FBI長官に関して、クリントン議員の私用メールに関する捜査結果の取り扱いが不適切であったとして、長官に不適格だとするメモを作成。このメモを理由に、トランプ大統領はコミー前FBI長官の解任に踏み切った。
報道の信ぴょう性について、タイムズ紙は、複数の匿名の人物による話しとしている。これらはミーティングで語られた内容、または、アンドリュー・マケイブ前FBI長官代理を含むFBI職員がローゼンスタイン氏との会話を記録したメモがベースとなっているという。ローゼンスタイン氏は、ジェフ・セッションズ司法長官と、当時、国土安全保障長官だったジョン・ケリー現首席補佐官に修正25条の発動に向けた手続きを進めるよう説得できると、マケイブ氏に語ったという。
マケイブ氏の弁護士によると、マケイブ氏のメモなどの記録は、2018年1月に長官代行から解任された際、ロバート・モラー特別検察官に引き継がれており、「彼(マケイブ)は、メディアがどのようにこれらのメモを入手したか知らない」と、本人と報道との関係を否定した。
ローゼンスタイン氏は「ニューヨークタイムズの報道は不正確で誤った事実」とし、「司法省に明らかな偏見を抱き、個人的な見解を推し進めようとする匿名の人物の話についてこれ以上のコメントを差し控える」と声明を発表。「修正25条を発動する根拠はない」と否定した。
同日、トランプ大統領は、ミズーリ州スプリングフィールドで演説を行った。「司法省にはすばらしい人々がいる」と述べる一方、「悪い臭いがまだ残っている。我々はそれも取り除くつもりだ」と発言。名指しを避けつつ、ローゼンスタイン氏の報道について言及したとみられる。また、最高裁判事候補のブレット・カバノー氏に関し、「我々は彼のために戦わなければならない。反対派は心配に足らない」と述べた。