アカデミー賞司会者やSATC女優も。NYで「中絶の権利」訴え数千人が抗議デモ

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米連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶の合憲性を認めた1973年の「ロー対ウェイド事件」の判決を覆す可能性が報じられたことを受け、マンハッタンでは3日、大規模な抗議集会が行われた。

政治ニュースサイトのポリティコは2日、人工妊娠中絶の合憲性を問うミシシッピ州の訴訟に関して、サミュエル・アリート最高裁判事が記した多数派の意見書の初稿を入手し、公開した

文書は、中絶の権利について、憲法上の保護を保証した1973年の判決と、後に権利の大部分を維持した1992年のプランド・ペアレントフッド対ケイシー事件の判決を全面的に否定する内容で、アリート判事は、ロー判決は「最初からひどく間違っていた」とし、「ローとケイシーを覆さなければならない」と記している。

ポリティコは、判決は公開されるまで最終決定ではないと指摘しつつ、結果は2ヶ月以内に明らかになるだろうとしている。また、係争中に草稿が漏れたことは、近代史上例がなく、物議を醸している問題にさらに火を注ぐ可能性があるとしている。

NY市では3,000人が抗議

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ロウアーマンハッタンのフォーリースクエアで午後5時から開催された集会では、アカデミー賞の司会を務めたエイミー・シューマーや、ニューヨーク州司法長官のレティシア・ジェームズ氏、ニューヨーク市議会議員、活動家らが登壇し、リークされた最高裁の判断を非難した。

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抗議者らは、中絶の権利を支持するグリーンのTシャツやスカーフを身につけ、「女性の人権の侵害」「マイ・ボディ・マイ・チョイス」(自分の体のことは自分が決める)「選択がないのは自由か」「全員に中絶の権利を」などのプラカードや、保守派の判事の顔のボードなどを持って参加した。

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過去に中絶した経験があると明らかにしたジェームズ司法長官は、「国民は自身の体をコントロールするという、憲法14条に定められ基本的権利を有する」と主張。「われわれは、針金のハンガー(不法な中絶のシンボル)を使用していた時代には戻らない!引き返さない!どの最高裁の判事も、われわれの体に関する決断を下すことはできない」と強い口調で訴えた。さらに、人工中絶が禁止された州の女性が、ニューヨーク州での手術にアクセスできるよう支援するための基金を設立すると約束した。

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コメディアンのエイミー・シューマーは「この裁判所はジョークだ」と皮肉を述べた。

ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」のミランダ役を演じた俳優で活動家のシンシア・ニクソンも、デモに参加した様子をSNSに投稿している。

集会に参加していたある女性は「悲劇だ。判決は、トランプのような共和党が率いる、急進的で福音主義による非常な小さな集団によって覆される。政府と宗教は分離すべきだ。最高裁に依存すべきではない」と話した。また別の女性は「女性の命が危険にさらされる州とそうでない州が生まれ、状況はさらに悪化する。こんなインチキは止めなければならない」と語った。

集会はこの後、ワシントンスクエアパークや、ダウンタウンブルックリンのバークレイズセンターでも行われた。

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Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。