『トップガン マーヴェリック』に登場する”ならず者国家”とは?

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トムクルーズ トップガン

35年ぶりに公開された続編が大ヒット中の『トップガン マーヴェリック』。米軍が攻撃対象にした「ならず者国家」はどこに?

映画では、オリジナル作品同様、具体的な敵国は明示されていないため、さまざまな憶測が飛び交っている。冷戦時代に公開された『トップガン』のクライマックスシーンでは、ソビエト製のMiG-28が登場するが、これらは架空のものとされていた。

なお「ならず者国家」に関して、Slateの解説によると、米国務省は2000年、故オルブライト国務長官時代に「rogue nations」という言葉の使用を公式に停止し、「states of concern」(懸念すべき国家)へと置き換えた。しかし、トランプ前大統領は2017年に、北朝鮮などを「ならず者の政権」と呼んでいる。ウィキペディアによると、現在米国は、アフガニスタンおよびベラルーシ、キューバ、イラン、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、シリア、ベネズエラの9カ国をならず者国家とみなしているという。

ロサンゼルスタイムズは、作品中の敵国に関して、地理的な条件や「第5世代航空機」(ロシアのスホーイ社が開発した「Su-57」ステルス戦闘機だと報じられている)を運用していることなどから、ロシアか中国だと推測したものの、核保有国に対する直接的な軍事介入は、第3次世界大戦に発展しかねず、海軍が「そのような危険な任務を引き受けるとは思わない」と可能性を否定した。

北朝鮮やイランについては、第5世代戦闘機を使用していないと指摘。中国についても、世界最大の映画市場となっていることから、「先制的に、多数の潜在的観客に対する扉を閉めるのは愚か」な選択として、敵国としての可能性を否定した。

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またSlateは、映画で描かれた条件を列挙した上で、先述した9カ国の「ならず者国家」に該当するかを分析している。

ちなみにその条件とは・・
・核兵器を保有する目論見がある(まだ保有していない)
・予備役となったF-14戦闘機(トムキャット)、第5世代戦闘機を保有している
・海に囲まれている
・常緑樹に覆われた山と谷がある
・降雪がある
・濃縮ウラン施設を建設する知恵はあるが、それらを的のような場所の中央に置き、上に金属の箱をかぶせるなど、爆破に最適な作りにするほど愚か

同サイトの解説によると、アフガニスタンやベラルーシは核保有に魅力を感じているものの内陸地にあると否定。またキューバには雪がなく、核はないが”ハバナ・シンドローム”という武器がある、イランは南部のオマーン湾部分には森林がなく、F-14は同国が所有する戦闘機の4分の1を占め、現役で運用している。さらにニカラグアには降雪がない、北朝鮮はすでに40-50点の核を保有、ロシアも6,000個以上の核兵器を保有、シリアは地理・気候・核保有への強い野望を持っているなど条件に近いが、米軍が関与する可能性は低い、ベネズエラは地形が当てはまらないと理由を並べた上で、どの国も「ならず者国家」に相当しないと”評決”を下した。

ならず者国家はどこに?

Slateは唯一の可能性として、すでにトム・クルーズが戦っている相手、2015年公開の映画「ミッション:インポッシブル/ローグネーション」や「フォールアウト」(2018)に登場する元諜報員で構成された「シンジゲート」こそが、すべての条件を満たすだろうと指摘している(核を一度は確保した。盗みも得意で、潤沢な資金によって、SU-57や山を購入できそうetc)。

これらの推測から、”マーヴェリック”は、実はイーサン・ハントで、映画を超えて敵と戦っていたのだろうか?などと想像してしまう。そのうちマーベル・ユニバースならぬ、”トム・クルーズ・ユニバース”の映画が制作されるかもしれないと期待するのは、私だけだろうか。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。