来年回顧録を出版することを明らかにした英国のヘンリー王子。その契約をめぐり、王室は「非常に現実的な恐怖」を感じているという。Daily Mailが伝えた。
ヘンリー王子は先週、回顧録の出版について、米大手出版社のペンギンランダムハウス社と契約したことを発表した。内容は「経験や冒険、喪失、人生の教訓など、いまの自分を形作った出来事を覚悟を持って伝える」ものになるという。
ところがこの回顧録以外に、ヘンリー王子夫妻が3作品の執筆を予定しており、契約がこの一部だったことが新たに明らかになった。報道によると、このうちの1冊はエリザベス女王の死後に発表する契約になっているという。
王室では、数年前からチャールズ皇太子への王位継承を見据え、準備が徐々に進められているが、ヘンリー王子の書籍出版は王位「移行」手続きの妨げになるのではと、王室は危惧している。また、第1作の出版を予定する来年はヘンリー王子の母親、ダイアナ元妃の死去から25年を迎える年である一方で、女王の在位70周年を祝う「プラチナジュビリー」も控えており、祝賀ムードを妨げる懸念もある。
王室側が出版前に内容を知らされることは考えにくいという。今年、最愛の夫、エジンバラ公フィリップ殿下を失った女王は、スコットランドのバルモラル城で、初めて一人のサマーホリデーを過ごしている。そうした中で、書籍の内容に関して女王に不安を与えたヘンリー王子に対し、王室内で「怒りと落胆」が広がっていると、情報筋は話した。
王室を離脱したヘンリー王子夫妻と王室との確執が深まるなかで、王室関係者は「火に油を注ぐ」ことにならないよう、今回の出版契約に関してあえてコメントを控えているという。
ヘンリー王子夫妻の弁護士は、1冊はエリザベス女王の死後に出版する契約になっているなどという報道は「でたらめで、名誉を毀損するもの」と否定している。
契約金は?
気になる契約金だが、Daily Mailは少なくとも1,800万ポンド(27億円)にのぼると伝えている。なお4作のうち1つは、ウェルネスをテーマにした本をメーガン妃が執筆するとも報じられている。
先週、ヘンリー王子の代理人は回顧録の「収益」を寄付すると発表したが、これに、出版前の契約金や、回顧録以外の3冊の売り上げが含まれるかどうかについては明らかではない。
王室内にはヘンリー王子支持の声も
ヘンリー王子と、父親のチャールズ皇太子や兄のウィリアム王子との確執が報じられる一方、従姉妹のヨーク公ベアトリス王女と、その妹、ユージェニー王女は、ヘンリー王子に理解を示しているという。
王女らの友人は「ヘンリー王子の歯に衣着せぬ批判は、それまで彼の声や意見が王室メンバーにほとんど聞き入れられなかったことが原因だと王女たちは感じている」と語った。ヘンリー王子は王室の中で「ジョーカー役」で、真面目な意見を言っても「呆れられていた」という。
王女2人は、3月に放送されたオプラ・ウィンフリーとのインタビューを始め、ヘンリー王子が各メディアのインタビューで語るのは「ようやく自分の声を聞き入れられた」と感じていることが背景にあると考えているという。
ヘンリー王子夫妻と、ユージェニー王女と夫のジャック・ブルックスバンク氏は親しい間柄で知られる。互いの取り決めにより、王女の一家は現在、ヘンリー夫妻が以前暮らしていたウィンザーのフロッグモアコテージ(現在もヘンリー夫妻の英国における公式の滞在地)で生活をしている。
ユージェニー王女は最近のインタビューで「ヘンリー王子とメーガン妃に特にアドバイスはない。幸せになって、というだけ。メーガン妃が児童書を出版したことは素晴らしいと思う。私も経験があるけれど、大変な努力が必要なことだから」と賞賛していた。