ニューヨークの地下鉄に掲示されていた米連邦最高裁判所のルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)判事の広告に、反ユダヤ主義を示す差別的な落書きがされていたことが分かった。
落書きは12日、ブルックリンのG線にあるナッソーアベニュー(Nassau Avenue)駅構内で発見され、すぐに消去された。
ニューヨーク市警察(NYPD)の憎悪犯罪班と地下鉄を運営するMTA職員は現在、ヘイトクライムとして事件を捜査している。
ポスターは、ギンズバーグ判事が最高裁判事に任命されてから25周年を記念し、2018年に発売された書籍「The Unstoppable Ruth Bader Ginsburg: American Icon」の広告だった。
増加するヘイトクライム
ニューヨーク市では反ユダヤ的な攻撃や事件が急増している。NYPDによると、3月10日時点で、86件のヘイトクライム(憎悪犯罪)が報告されており、前年同時期に比べ62%増となっている。60%が反ユダヤ主義に関するもので、昨年の32件に対し、今年は52件に増加している。
ニューヨークタイムズによると、2018年市内におけるヘイトクライムは5%増となった。反ユダヤ主義の犯罪はその前の年に比べ22%増加している。
性差別に挑んできたギンズバーグ判事とは
ギンズバーグ判事は、ブルックリンのユダヤ移民の家庭で生まれた。ハーバード大とコロンビア大のロースクールを優秀な成績で卒業し、弁護士となった。しかし当時は、ユダヤ人で女性、小さい子の母親という理由で、就職先を見つけるのは非常に困難だったという。
1960年代から70年代の間に、性差別に関する重要な裁判を担当し、その後の米国の歴史を変える判決を勝ち取ってきた。
1993年にクリントン元大統領によって、女性として史上2番目、ユダヤ人女性として初の最高裁判事に任命された。
ギンズバーグ判事は、アメリカ人女性が社会で活躍するための法整備に尽力してきた人物として知られる。
昨年公開されたドキュメンタリー『RBG 最強の85才』(RGB)は大きなヒットとなっている。
また、夫マーティン氏とともに、初めて法廷に立ったエピソードを描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』(On the Basis of Sex)も公開された。