連邦最高裁の広報担当者は21日、ルース・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)最高裁判事(85)がニューヨーク市のメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)で、左の肺の2つの悪性結節を摘出したと発表した。
ギンズバーグ判事は、先月7日に事務所で転倒した際、肋骨を3本骨折した。その時の検査で、肺の結節が発見された。
ギンズバーグ判事は現在安静にしており、医師の所見によれば、その他の病気や転移などは見当たらず、これ以上の治療計画はないという。数日後には退院する見通しを発表している。
リベラル派の最高齢判事
リベラル派で、「ノートリアスRBG」の異名を持つギンズバーグ判事は、1993年に当時のビル・クリントン大統領から最高裁判事に指名されて以来「できる限り最高裁判事としての職に仕えたい。」とCNNに語っている。
現在85歳で、最高裁判所では最高齢の判事となる。1999年に結腸癌の手術を受けており、その10年後には初期の膵臓癌が発見されたが、いずれも完治し職場復帰を果たしている。
判事に就任する前の1970年代には、女性の権利を推進する活動を行っていた。サンドラ・デイ・オコナー(Sandra Day O’Connor)氏に次ぎ、史上2番目の女性最高裁判事に就任した。
今年は最高裁判事に就任してから25周年を迎える記念の年であり、ドキュメンタリー映画『RBG』が公開され、大きなヒットとなった。
12月25日からは、女性の権利を推進する裁判に臨んだ、若き日のギンズバーグ氏を描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』(On the Basis of Sex)が米国で公開される。(日本では3月22日公開が決定)
健康状態は国民の関心毎に
現在ギンズバーグ判事の健康状態は、アメリカ国民の大きな関心毎となっている。
彼女が引退した場合、トランプ大統領が次期最高裁判事を指名することとなり、最高裁判事のバランスが、より保守に傾く可能性が高い。
トランプ大統領は、この2年で保守派のニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)最高裁判事と、ブレッド・カバノー(Brett Kavanaugh)最高裁判事を指名した。
現在米国の最高裁判所はリベラル派4人、保守派5人で構成されている。