首都ワシントンとニューヨーク市で、5人のホームレスが銃撃された事件で、ワシントンの首都警察は15日、ジェラルド・ブルバード・三世(Gerald Brevard III)(30)を逮捕、起訴したと発表した。
被告はワシントンで、3月3日から9日にかけて睡眠中のホームレス3人を襲い、1人を殺害、2人を負傷させた。ニューヨーク市では12日に2人を銃撃。1人を殺害した。ワシントンの警察は、第1級殺人および殺人未遂の罪で起訴したとしており、今後、ニューヨーク市でも起訴されるだろうとしている。
ワシントンで殺害された男性は、モーガン・ホームズさん(54)と明らかにされた。9日午前3時、消防隊員が、燃やされたテントの中でホームズさんの遺体を発見した。当初、火傷によって死亡したとみられたが、検死から、複数回刺され、銃撃されたことが判明した。
ニューヨーク市で殺害された男性の身元は明らかにされていない。男性は、頭部と頸部を撃たれ死亡した。監視カメラに、ブルバード被告が、寝ている男性を足で複数回蹴り、周囲を確認した後、銃撃する様子が映っていた。
両市の警察は事件後、複数の画像や映像を公開し、情報提供を呼びかけていた。ワシントンのATMで撮影された画像には、ブルバード被告の顔が鮮明に写っていた。捜査官らは、弾道に関する証拠から5件の事件をつながりが判明したほか、寄せられた情報も犯人特定に役立ったとしている。
犯行には、22口径の拳銃が使用されたが、武器はまだ回収されていないという。
ブルバード被告にはこれまで複数回の逮捕歴があった。2018年7月、口論の末、刃物で相手を刺そうとしたとした後、暴行罪で起訴された。裁判記録によると翌年、精神鑑定により責任を問えないと判断された。精神科病院に入院したが、1カ月で退院させられた後、禁錮1年間の刑を言い渡された。ただし記録によると、刑の執行は停止されていたという。
ラスベガスに住む父親ジェラルド・ブルバード・ジュニアさんは、ニューヨークタイムズの取材に、犠牲者に哀悼の意を示すとともに、息子が司法制度およびメンタルヘルスシステムに何度も関わったにもかかわらず、精神疾患は一度として解決されなかったと話した。「ワシントンに責任があるとまでは言わないが、もっとできたはずだ。息子を解放したが、正しい判断ではなかった。精神病院から出して、刑務所から出した」と語った。
ブルバード被告自身もホームレス生活を繰り返していた。親戚のダレル・ブルバードさん(52)はニューヨークポスト紙に、メリーランド州にある叔母の家に、度々、滞在していたと語っている。これまで、ブルバード被告から、ホームレスに対する否定的な発言は聞いたことがなく、大きな衝撃を受けていると語った。