昨年、生後10ヶ月の女の子が薬物の過剰摂取で死亡した事件で、警察は15日、父親のダニエル・オースター(44)を逮捕、過失致死罪などで起訴した。
ダニエル被告の父親は、「ガラスの街」、「幽霊たち」、「鍵のかかった部屋」のニューヨーク3部作や映画「スモーク」などで知られるニューヨークを代表する作家ポール・オースター。
娘ルディーちゃんが死亡したのは昨年11月1日。ブルックリンのパークスロープにある自宅で意識不明となり、搬送先の病院で死亡が確認された。検視の結果、フェンタニルとヘロインの複合効果によって起きる急性薬物中毒で死亡したことが判明した。
ニューヨークタイムズによると、ダニエル被告は捜査官に対して、この日の朝、妻が仕事に出かけた後、ヘロインを打ち、娘と昼寝をしたと説明。目覚めると「青く、活気がなく、無反応だった」と供述した。救急車に通報する前、動かなくなった娘にオピオイド拮抗薬「ナルカン」を投与し蘇生を試みたと述べたという。
市検視官は、毒物検査の結果、殺人と断定。これを受け、捜査当局は先週金曜日にダニエル被告を逮捕した。検察は起訴状で、ルディーちゃんが薬物をどのように摂取したのか、特定していないという。
19日に出廷したダニエル被告に対して、裁判官は保釈金を10万ドルから25万ドルに設定し、21日に再び出廷するよう命じたという。
デイリーメールによると、被告のインスタグラムアカウントには、娘や妻と一緒に映る写真が数多く投稿されていた。
ダニエル被告は過去、薬物関連のトラブルを繰り返していた。
1996年、ナイトクラブのプロモーターらがドラッグディーラーを殺害し、遺体をハドソン川に捨てた事件で、当時18歳だったダニエル被告は、殺害されたディーラーから盗まれた3,000ドルを所持していたとして逮捕、執行猶予処分を受けた。
デイリーメールによると、ダニエル被告は殺害現場に居合せており、3,000ドルは口止め料として受け取ったものだった。
2008年と2010年に薬物所持で逮捕されているほか、2009年には窃盗の罪で起訴されている。
ダニエル被告は、父親の作品にも登場することがあった。
ハーヴェイ・カイテルが主演、ブルックリンにあるタバコ店をめぐる日常を描いた映画「スモーク(1995年)」では、ダニエル氏も出演し、本泥棒の役を演じた。
タイムズによると、2003年のポール・オースターの小説「オラクル・ナイト」の語り手は、ドラッグ中毒の息子を持つ父親だった。さらに、オースターの妻で、ダニエル氏の継母シリ・ハストヴェットが同年発表した小説「What I Loved」では、薬物中毒で、ドラッグディーラーの殺人に関連して逮捕される人物が登場するという。