Mashup Reporterの関連サイト「くらしフィード」では1日、在米者を対象に、日本の相続の法律やルールについて、弁護士と税理士を招き、ウェブセミナーを開催しました。
講師は、兵庫県弁護士会に所属する井上敬介弁護士と、近畿税理士会所属の上坪正人税理士が務めました。
法定相続分に関するパートでは、一般的な家庭の例を元に、父親が亡くなった場合の相続人の範囲や相続割合などを解説。相続に関する基本的な4つのルールを学びます。
これらを元に、学費やマンションの購入資金など特別に利益を受けた場合の「特別受益」や、亡くなった方(被相続人)の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人がいる場合の「寄与分」に関する考え方と計算方法などを、実際の相続額を元に計算しました。
遺言に関しては、「自筆証書遺言」はパソコンで作成した場合や、自書した日付や氏名の、印がない場合は、無効になるなどの注意が必要です。不備による争いを避けるための、「公正証書遺言」のすすめなどについて解説しました。
また遺言が尊重される米国では珍しい「遺留分」に関する考え方や、請求することのできる期限についても注意が必要です。海外に在住する日本人にとって、特に重要なのは期限です。遺留分は、これらを侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しなければなりません。
来年4月から施行される「相続登記の義務化」についても、相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要となります。正当な理由なく、申請をしなかった場合、10万円以下の過料が科されますので、注意が必要です。
相続した財産にかかる税金に関するパートでは、基本的な考え方と計算方法を解説しました。昨年政府が発表した相続税の改正に関して、セミナー参加者からも質問が寄せられましたが、年110万円の暦年贈与の「生前贈与課税」は、2024年以降の贈与に関して、3年から「7年」に延長されることが決定しています。
相続額が少ない(基礎控除額以下)場合、日本での申告義務はありませんが、土地の名義を変更するなど、相続登記などの手続きは必要になりますので、注意が必要です。
在米者の相続税に関して、亡くなられた方の死亡時の住所や、相続人の方の国籍や住所(10年以内どこに住んでいたか)など、さまざまな条件によって、どこで納税義務が発生するかが異なるため、専門家への相談が推奨されます。
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